本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NECの西村知泰 執行役員と、日本オラクルの桐生卓 常務執行役員の発言を紹介する。
「IAサーバを売り上げで2桁成長させたい」
(NEC 西村知泰 執行役員)

NECの西村知泰 執行役員
NECが先頃、最新のインテルアーキテクチャ(IA)プロセッサを搭載し、人工知能(AI)技術を活用したサーバ「Express5800」シリーズの新製品群を発表した。同社執行役員でシステムプラットフォーム事業を担当する西村氏の冒頭の発言は、その発表会見で、IAサーバ事業の今後の見通しについて2桁成長への強い意欲を示したものである。
新製品群の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは西村氏の冒頭の発言に注目したい。というのは、IAサーバ市場自体が仮想化による統合の進展などによって縮小傾向にある中で、「2桁成長」を打ち出すのは相当強気と受け取れるからだ。その根拠はどこにあるのか。
西村氏は会見の冒頭で、サーバをはじめとしたITプラットフォームの企業システムとしての役割の変化について、下の図を示しながら次のように説明した。

図:ITプラットフォームの企業システムとしての役割の変化
「ITプラットフォームは企業システムとしてこれまで、業務の効率化や科学技術計算に利用されてきた。そして、ここにきてAI技術が実用段階に入り、人のノウハウがデジタル化できるようになって、自動化による業務の効率化や省力化、あるいは新ビジネスを素早く創出できるようになってきた。また、これからの労働力不足を補っていくことも重要なポイントになってきた」
その上で西村氏は、Express5800がそうした新たなITプラットフォームの役割も担っていくことを強調。今後も有効なソフトウェアとの組み合わせによって付加価値を高め、顧客のビジネス変革に貢献することで、自らの事業の成長にも弾みをつけていきたい考えだ。
ただ、そうしたアクションだけで本当に2桁成長を果たせるのか。筆者は会見の質疑応答で、「企業のクラウド化が進めば、サーバのありようも変化させる必要があるのではないか」と聞いてみた。すると、西村氏は次のように答えた。
「パブリッククラウドは一定の割合で使われるようになるだろうが、多くの企業はオンプレミスおよびプライベートクラウドでの利用を継続すると見ている。Express5800は今後もそこを対象にしてニーズをしっかり捉えた商材として進化させていきたい」
その上で、改めて2桁成長について、「かなり高いハードルだとは思うが、やれないことはないと考えている」と自分に言い聞かせるように語った。果たして、IAサーバの国内トップベンダーとしての意地を見せるか、注目しておきたい。