「マイデータ」の時代

「個人主導データ流通」が加速するマーケティング変革--個人化から個性化へ - (page 2)

伊藤 直之(インテージ)

2017-08-25 07:00

デジタル時代に求められるマーケティング・コミュニケーションとは

 ”マーケティングの父”と呼ばれる、Philip Kotler教授著の「Marketing 4.0: Moving from Traditional to Digital」では、マーケティング4.0はデジタル時代において”企業と顧客の間でオンラインとオフラインを組み合わせ相互作用するマーケティングアプローチ”と定義されている。

 幾度となく述べてきたが、これまでのマーケティング・コミュニケーションは企業から生活者へ一方的であり、相互のコミュニケーションを実現するためには、個人から企業に対する情報共有や発信する術が必要になる。その一助となるのが個人主導データ流通であり、CustomerTechやCSP (Consumer Side Platform) である。

 マーケティング・コミュニケーションが、これまでの企業から生活者への一方通行的な存在から双方向になった時、生活者が起点となる、従来と異なった考え方が求められる。

ビジネス起点が企業から生活者へ


 企業と生活者の間におけるビジネスモデルはパワー(情報や関係構築主導権)バランスによって確立され、これまでのマスマーケティングを中心とした「B2C(Business to Consumer)」のビジネスモデルは圧倒的に企業側に主導権があった。

 しかし、インターネットによって生活者が自ら情報を収集・発信できるようになり、企業と生活者のコミュニケーションやコラボレーションを通じた共創を表現する「BwithC」や「BintoC」と呼ばれる考え方が出てきている。

 今後、個人主導データ流通やCustomerTechによってパワーバランスの中心点が更に生活者側へシフトすると、“Me(私)”が企業との関係構築のハンドルを握り、生活者がビジネスの起点となる”Me2B”の時代がやってくる。

 この考え方はネットやリアル、デバイスなどの全てのチャネルをシームレスに連携させて生活者に訴求するオムニチャネルの実現に重要とされている。

 オムニチャネルに求められる究極の顧客体験は、個人がどの端末からどのチャネルにアクセスしても、個人を識別した上で個人の状況を理解し、個人の期待に沿ったサービス提供をすることである。

 個人による自身の情報共有とニーズ発信を起点に、企業が生活者の課題解決や目的達成を支援していくことで、企業と生活者のエンゲージメントが深化され、生活者にとってなくてはならないパートナーという関係性を構築できる。

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