プラットフォームとエコシステム
Dou氏、Raffensperger氏がともに強調するのは、パートナー戦略だ。市場拡大に重要となるチャネルでは1万2000社、Huaweiのインフラを利用したソリューション開発では400社、サービスでは2100社と組み、Huaweiの技術や製品を熟知した認定エンジニアは4万6000人に及ぶ。「成長はパートナーのおかげだ」とDou氏は言う。
分野としては、スマートシティ、ファイナンス、エネルギー、交通、製造の5つにフォーカスする。土台となるのは、2016年に発表した戦略「プラットフォーム・プラス・エコシステム」だ。プラットフォームでは、オープン、柔軟性、安全性などの特徴を備え、顧客の事業成長を支援する。エコシステムでは顧客中心の考え方に基づく協業をパートナーと進め、利益を共有することで共存共栄を図る。
顧客ニーズ主導でシステムを構築するにあたって、アプリケーションなどHuaweiが手がけないところは各分野のプレイヤーと組む。業務アプリケーションではSAP、金融向けシステムではInfosys、2014年にプライベートクラウドで戦略的提携を結んだAcceture、そして製造ではKUKA、ABB、セキュリティではHexagon、スマートビルではHoneywellなどと提携している。
プラットフォーム・プラス・エコシステムに加えて、Dou氏が強調する差別化が、「クラウドーパイプーデバイス」だ、デバイスとはIoTのモノの部分で、パイプはネットワーク接続部分を意味する。これにより、クラウドを活用したIoT時代向けのアーキテクチャの移行が容易に進む。「クラウド、パイプ、デバイスの全てを扱うことができるベンダーはHuaweiのみ。3つがそろっているので、3つを統合するプラットフォームを提供できる」(Dou氏)。
産業や社会に大きなインパクトを与えると予想されるIoTは、無線インフラで培った技術やキャリアとの関係を活用できる格好のチャンスだ。Huaweiはさまざまな分野で進めているが、その1つが中国で急速に普及している自動車シェアリングだ。ここではサービスを提供するOfo、通信事業者と組んで、IoT通信規格「NB-IoT」を使って自転車を接続するシステムを構築した。「NB-IoTの最大のメリットは省電力。自転車サービスの提供時間を最大化できる」とDou氏は言う。
また、エレベーターのSchindlerはHuaweiのエッジコンピューティング「Edge Computing IoT」を利用し、エレベーターの遠隔監視やリアルタイムでのアラート、予測メンテナンスを実現している。ここでは、GE DigitalのIoTプラットフォーム「Predix」がベースとなっている。

IoTでのHuaweiの戦略は、1-2-1だ。1は1つのIoT OS(「Huawei LiteOS」)、有線と無線の2つのアクセスモード、1つのIoTプラットフォーム(「OcenConnect IoT」)。
Huaweiが世界戦略をローカルで進めるのに重要な役割を担うのが「OpenLab」だ。データセンター環境を備え、顧客やパートナーと開発や検証ができるラボで、「オープンな実験室」(Dou氏)となる。2016年に5箇所でスタートし、2017年には7箇所設立、2019年にはその数を20に拡大する計画だ。
2億ドルの予算をつぎ込む計画というが、これについてDou氏は「顧客のために最新のソリューションを開発する。その意気込みを示すものだ」と説明する。日本は計画にないが、これについては蘇州が近いことと、錦糸町の共同検証ラボがその役割を部分的に担っているとのことだった。

Huaweiが3年で2億ドルの予算をつぎ込み、世界20箇所で展開するというOpenLab。