「効率化・自動化に優秀な人材が必要」--6年のはたらきかた改革で学んだこと - (page 2)

大石 良

2017-08-28 07:00

退職クライシス

 ビジネスは順調に伸びる一方で、予期しない事態が起こりました。従業員があまり増えない中で業務量だけが飛躍的に増えた結果、まとまった数の退職者が出てしまったのです(チームごと抜ける、というような一過性の話ではなく、個別に退職する人が一時期にまとまって発生してしまいました)。

 こうした事態を受けて、われわれは、改めて採用の大切さを学びました。

 もちろん業務の効率化・自動化が最善の解決策ではありますが、「効率化・自動化を進めるにも優秀な人材が必要」であることに変わりはありません。

 業務量に応じた人材を採用することは会社の責任であり、そのためには計画的に「採用力」をつける必要があると学んだのです。その「採用力」をつけるために、会社として「優秀な人に選んでもらえる会社になろう」ということを強く意識し、さまざまな改革を進めることにしました。

 「リモートワーク」に取り組み始めたのも、この「優秀な人に入ってもらう」ことがきっかけだったのです。

ファシリティ改革

 このような考え方の転換を受けて、オフィスのレイアウトも大胆に刷新しました。

 コンセプトは「採用力のあるオフィス」です。

 基本的にはフリーアドレスなのですが、オフィスを大きく3つのエリア「Communication:コミュニケーション」「Collaboration:コラボレーション(ペアプログラミングや相談しながら資料を作成したりするエリア)」「 Concentration:コンセントレーション(集中エリア))に分けました。それぞれ仕事の内容に応じて自分で好きなエリアに移動して仕事をする、というスタイルにしたのです。


 それぞれのエリアにも一工夫してあり、例えばコミュニケーションエリアでは話が弾むように、無料のコーヒーとバーカウンターを、コラボレーションエリアには大きな円卓やコーヒーショップのような横長の机を置きました。集中エリアには立ちながら仕事ができるデスクを設け、できるだけ使い勝手がよく、かつそれぞれのエリアに適したファシリティをおくようにしました。

ファシリティ改革は従業員の手で

 ファシリティ改革にあたって、「進め方」も工夫しました。「採用力のあるオフィス」というコンセプトだけ伝えて、あとは従業員の中でやりたい人、興味のある人に進めてもらう、委員会制で進めたのです。

 オフィスのファシリティを一番使うのは(経営者ではなく)従業員です。興味のある従業員に進めてもらうのがもっとも意味があると考え、基本的なコンセプト、予算だけ伝える方式にしたのです。

 これは結果から言うと大成功でした。畳の小上がり、カフェの様な席、立ちながら仕事をするスペースなど、普通の経営者や総務部の視点では思いつかなそうな、しかしエンジニアや働く人から見ると「あったらいいな」というファシリティを取り入れることに成功したのです。

 「採用力のあるオフィス」というコンセプトは、「従業員が来たくなるオフィス」ということでもあります。

 われわれは、「家でも会社でもどちらでも(好きな方で)仕事ができます。一方、会社での方が効率性が上がる、出社したくなるようなファシリティを用意します」という方向を基本スタンスとしました。その上で、可能な限り、はたらきやすくなるようなファシリティの準備に取り組んできました。

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