「関係性を改めなければ浸透しない」--6年のはたらき方改革で学んだこと - (page 2)

大石 良

2017-08-29 08:00

パフォーマンスとは何か?

 もちろん、会社によって「何が成果か」という定義は異なります。例えば、飲食店で店員がオープン前に店舗にこなければ、店を開けることもできませんし、コンビニで店員が横になっていては仕事になりません。そのようなチームでは当然「時間通りに出社すること」や「勤務態度」はパフォーマンスに含まれると考えられます。

 筆者がここで言いたいことは、「何がその会社で求められているのか」をきちんと理解、共有し、成果を出すために大切なものであれば守る。そうでなければ自由度を設ける、というメリハリが大切だということです。

「人口減少」からの「関係性改革」

 現代の日本でわれわれは残念なことに「人口の減少期」に生きています。

 今まで日本の成長は、人口が増える時代に発生する「人口ボーナス」に支えられてきましたが、これからは「人口オーナス」と呼ばれる、マイナス効果が発生することが分かっています。

 私たちは今まで、会社の数よりも(相対的に)従業員の数が多い時代を生きてきました。ですから、会社は従業員を選ぶことができ、会社に勤める人は選択肢が少なかったわけです。

 ところが、これからはその数の関係が逆転し「会社が余る」時代に突入しています。

 そのような時代では、労働者は自由に会社を選ぶことができ、働きにくい会社は自動的に淘汰されると考えるのが自然です。

 今まで、安い賃金で若い人を大量に雇うことで実現できていた利益を、確保できなくなるわけです。そうした経営が実現できなくなって困るのは企業なのに、従業員に「はたらき方を変えろ」と命令するのは滑稽な気すらします。

 これから起こることは、「はたらきやすい会社によい人が集まり、その会社の生産性が結果として上がる」ことであり、会社がはたらき方を命令して生産性が上がるような話ではないのではないか? というのが筆者の考え方です。

 つまり、本当に変えなければいけないのは「会社のスタンス」であり、「会社が選ばれる立場になる」ことを「関係性改革」と呼んでいます。

関係性改革の本質

 会社が選ばれる立場になることを「関係性改革」と表現しましたが、これは決して「従業員が顧客になる」と言う意味ではありません。

 従業員をもてなすのではなく、会社は「はたらきやすさ」を提供することに注力する。従業員と会社が同じビジョンに向かって進む「同志」になる。そんなイメージです。


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