ロボットの普及によって、仕事が根本的に変わろうとしている。コンサルティング会社PWCが最近発表した調査結果によれば、2030年までに、英国で既存の仕事の3分の1がロボットと人工知能(AI)によって自動化される可能性があるという。
AIの仕事に対する影響については、他にも次々に同様の調査結果が出ている。KPMGが最近、人材紹介会社のHarvey Nashと共同で世界の最高情報責任者(CIO)を対象に実施した調査によると、CIOの3分の2近くが、仮想知的労働者(ロボット工学、自動化、人工知能などを含む概念)に投資しているか、投資する計画を持っている。
それらのCIOの4分の1は、すでに非常に有益な結果が出始めていると答えている。この調査では、デジタル化に積極的なリーダーが、ほかの回答者と比べて仮想知的労働者に4倍投資していることも明らかになった。これらのCIOは、企業全体の仮想知的労働者ソリューションに取り組んでおり、一部のケースでは、その比率は関心が少ないCIOの2倍に及んでいた。
変化の規模を理解する
ただし、あまり変化の速さを強調しすぎるべきではない。KPMGでCIO事業のグローバル責任者を務めるLisa Heneghan氏は、今はまだAI時代の始まりにすぎないと述べている。デジタル化に積極的なリーダーは、ロボットによるプロセスの自動化によって、クレーム対応やデータ入力などの定型的な手動のプロセスに対応しようとしている。Heneghan氏によれば、機械学習などのデジタル技術を使ったより高度な対応力に対する投資判断は、これから行われるという。
同氏は、AIを評価する上でCIOが果たしている役割について触れ、「試験的な投資や小規模な投資は見られるが、現時点ではまだ主要な投資先とは言えない」と述べている。「CIOは仮想知的労働者について取り組む中核研究部門の構築を検討しつつある。この部門を設置することで、CIOは企業全体のデジタル化を検討することが可能になる」
例えばFirst UtilityのCIOを務めるBill Wilkins氏は、データアナリティクスに対する顧客中心的アプローチを取っており、AIや自動化を含むテクノロジを活用して同社の成長を後押しする、新たな方法を模索し続けている。Wilkins氏は、競争力を維持するためには、情報を用いたイノベーションを継続していく必要があると述べている。
Diageoの世界的なシェアードサービスを担当する、同社の最高生産性責任者(CPO)Brian Franz氏も、同様の意見を持っている。同氏が特に重視しているのは、持続可能な形で効率と有効性を高め、AIを含む先端技術を最大限に活用することだ。
Franz氏は、同社の自動化の取り組みについて、「わが社は、うまくいくと確信の持てる水準で、シェアードサービスのプロセスの一部でロボットを使い始めた」と述べている。「われわれは、消費者とどのように関与するか、消費者がわが社のブランドとどのように関与しているかなどの領域で、実験的な形でAIを試している」