日本株展望

外国人投資家が今、日本株を買わない理由

ZDNet Japan Staff 2017年08月22日 11時01分

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今日のポイント

  1. 日本株を動かしているのは外国人投資家である。外国人が買うと上がり、売ると下がる傾向が20年以上続いている
  2. 世界の株式市場で、製造業は高く評価されず、IT関連株が高く評価される時代となっている。日本では、自動車など製造業が強いが、IT関連で世界を支配する企業は少ないため、外国人投資家から評価されにくくなっている

 これら2点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

外国人の売りで下がった日経平均

 日本株の動きを決めているのは、外国人投資家である。2万円を中心としたこう着が続いてきた日経平均だが、8月は、外国人の売りが増えて下落した。

日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2016年1月4日~2017年8月21日(外国人売買動向は8月10日まで)


注:上記のグラフの外国人売買で、棒グラフが上(プラス方向)に伸びているのは買越、下(マイナス方向)に伸びているのは売越を示す
出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成

 外国人は、買うときは上値を追って買い、売るときは下値を叩いて売る傾向がある。結果として、外国人が買い越すと日経平均が上がり、売り越すと日経平均が下がる傾向が、20年以上続いている。

 外国人から見ると、日本株は「世界景気敏感株」です。製造業・輸出産業の比率が高く、世界景気の影響を強く受ける。一方、米国株は、ディフェンシブ(景気変動の影響を受けにくい)株と言える。米国株の時価総額の内訳を見ると、製造業の比率が低く、IT・ヘルスケア・金融などの比率が高いからだ。

 今、世界の景気は好調である。日米欧先進国と、中国、ASEANなど新興国が同時に回復してきている。過去のパターンでは、外国人が「世界景気敏感株」である日本株をもっと買ってきていいと思われる。ところが実際には、外国人は今、日本株投資への興味を失いつつあるようだ。なぜだろう?

 その理由は製造業の比率が高いこと。これが日本株が評価されない理由となってきている。

 リーマン・ショック直前に高水準の利益をあげてきた自動車など日本の製造業は、リーマン・ショック後に軒並み赤字に転落した。自動車産業の利益がきわめて不安定であることを示した。

 その後、世界景気敏感株である製造業は、利益が伸びても、あまり高く評価されなくなってきている。日本でも世界でも、製造業の株価は割安に放置される一方、非製造業、特にIT関連やサービス産業が高く評価される時代になりつつあるのだ。

 いくつか例をあげる。PER(株価収益率)という指標で、投資家の企業評価を見てみよう。

 PERとは、株価が1株当たり利益の何倍まで買われているか示す数値である。成長期待が高い企業は、PERで高い倍率まで買われる。一方、成長期待が低く、投資家に人気のない企業は、PERで低い倍率に放置される。

 製造業のPERは、自動車関連株を中心に低くなっている。8月21日時点の予想PERを見ると、トヨタ自動車(7203)10倍・ブリヂストン(5108)12倍・日立製作所(6501)12倍・日本精工(6471)12倍、JFE HD(5411)8倍などだ。一方、IT関連・サービス業などは、予想PERで高く評価されるようになった。オリエンタルランド(4661)37倍、東宝(9602)22倍、日本オラクル(4716)25倍・NTTデータ(9613)28倍、リクルートHD(6098)30倍などである。

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