ハードから読み解くITトレンド放談

いまから考えるWindows 10とPCの移行--前編 - (page 2)

山本雅史 2017年08月24日 06時00分

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Windows 10のライフサイクルは?

 Windows 10のライフサイクルは、Windows 7やWindows 8/8.1とは、大幅に異なっている。これは、Windows 10が年2回のアップデートで提供されるため、メインストリームサポートや延長サポートという考え方がないためだ。


Windows 10はアップデートリリース後18カ月で延長サポートが終了し、セキュリティアップデートも提供されなくなるため、18カ月以内に最新版のアップデートに更新する必要がある。更新すれば、さらに18カ月間サポートされる(Decode2017資料より)

Windows 10の各バージョンは、このスケジュールでサポートが終了する。既にバージョン1507のサポートが終了し、1511も2017年10月にサポートが終了する(Decode2017資料より)

 Windows 10では、最新のアップデートを含めた3世代がサポートされる。2017年8月時点では、2016年8月にリリースされたWindows 10 バージョン1511までにセキュリティアップデートが提供されている。2015年7月にリリースされた最初のWindows 10(バージョン1507)は2017年5月にサポートが終了し、セキュリティアップデートは提供されていない(バージョン1507は、バージョン1511/1607/1703にアップデートすれば、それぞれのバージョンに従ったライフサイクルサポートが適用される)。

 MicrosoftはWindows 10において、「Windows as a Service」(WaaS)という名称で、「サービスとしてのOS」というコンセプトを打ち出している。従来のWindows OSのように、3~5年で新しいバージョンをリリースしてアップグレード版を販売するといったモデルから、年2回の継続的な新機能の提供を通じてWindows 10がインストールされているPCハードウェアなどのサポートが終了するまで最新のWindows 10を使い続けられるモデルに変わった。


Windows 10はWaaSというコンセプトでアップデートとサポートを行う(Decode2017資料より)

 ただしハードウェア的には、Intelが一部のAtomプロセッサのサポートを終了したため、最新ドライバが提供されなくなり、PCを最新のWindows 10にアップデートできないことがある(PCのサポートはプロセッサだけでなく、チップセットやグラフィックチップなどのドライバも関係する)。このため、Windows 10のPCはハードウェアが壊れるまで、ずっと最新のWindows 10にアップデートできるわけではない。

 Atomプロセッサのように、アップデート時にトラブルが起こるというのは特殊な例だ。実際、2012年12月に発売されたIntelのデスクトップ用マザーボード「DQ77MK」(Q77 Expressチップ)と第3世代のCore i 5プロセッサを搭載したPCでもWindows 10は使える。ただ、基本的にはハードウェアのサポートが終了しているため、新しいWindows 10にアップデートできなくなる可能性もあるし、アップデートしてもトラブルが起こる可能性もある。

 Windows 10のPCにおいて、リプレースは「5年」を一つのめどに考えた方がいいだろう。タブレットや2 in 1 PCは進化が速いため、5年よりも短い期間を想定しておいた方がいいかもしれない。

 WaaSでは、年2回のアップデートを示す「Semi-Annual Channel」が提供される。Semi-Annual Channelの中で、一般コンシューマー向け(リリース後のアップデートをすぐに適応できる)を「Semi-Annual Channel」(Pilot)、Semi-Annual Channel(Pilot)のリリースから4カ月後に提供されるビジネス向けの「Semi-Annual Channel」(Board)に分かれている。Semi-Annual Channel(Pilot)の以前の名称は「Current Branch」(CB)、Semi-Annual Channel(Board)は「Current Branch for Business」(CBB)と呼ばれていた。

 Semi-Annual Channelに名称が変更されるは、Microsoftが年2回のアップデートをWindows 10だけではなく、Office 365でも行うことにしたからだ。今後はOSとOfficeのアップデートが年2回、同じタイミングで行われることになる。

 Windows 10 Enterpriseには、「Long Term Service Channel」(LTSC)というエディションが用意されている。LTSCは、以前に「Long Term Service Branch」(LTSB)と呼ばれていた。LTSCは10年間のサポートが保証されている。

 このため、企業ではLTSCにメリットを感じるかもしれないが、注意が必要だ。実際には、LTSCでは10年間セキュリティアップデートやバグフィックスが提供されるものの、新機能などを中心とする年2回のアップデートは提供されない。アップデートするには、新たなLTSCイメージが提供された段階で、ローカルでアップデートを行うことになる。

 Microsoftは、LTSCを基幹システム向けとしており、一般的なWindows 10ではなく、金融機関の業務端末など特定用途向けのOSと考えている。多くの業務用PCには、Windows 10 ProやWindows 10 Enterpriseがマッチしている。

 次回はPCハードの視点からWindows 10の移行対応について解説する。

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