中小企業もボリュームライセンスを選ぶべき?
中小企業の場合、PCショップで市販モデルを購入して、そのまま業務に使っているところが多いだろう。
しかし今後のWindows 10の進化を考えていけば、企業向けのWindows 10 Enterpriseが利用できるボリュームライセンスの導入を考えてほしい。Microsoftのボリュームライセンスは、Windowsだけでなく、Office365やWindows Server、クラウドサービスのAzureの利用など、Microsoftのさまざまなアプリケーションやサービスをカバーしている。また、コスト面でもいろいろと優遇されている。
例えば、Windows OSとOffice 365を1つのサービスとして月額課金型で利用できる「Windows 365」というサービスがあり、こういったサービスもボリュームライセンスの中で提供されている。ボリュームライセンスは、3台以上のPCを利用している場合からメリットがあるため、個人事務所の規模からでも利用できる。
なお、PCメーカーの製品にはWindows 10 Proがバンドルされている製品もあるため、ボリュームライセンスで提供されるWindows 10 Enterpriseを利用しなくても、OS自体の使い勝手が変わるわけではない。しかし、ボリュームライセンスによって、高度なセキュリティ機能を含むWindows 10 EnterpriseやOffice 365を利用できるメリットがある。
それでも残るWindows 7
オフィスで使っているPCの多くは、Windows 10に移行できるだろう。問題は、工場などの生産機器のコントローラとして使っているPCだ。こういったPCは、専用のアプリケーションや生産機械と組み合わせて、一種のソリューションとして提供されている。このため、Windows 10へのアップデートは容易にはできない。
まずは、システムを販売している企業に相談をすべきだ。もしWindows 10にアップデートせずWindows 7のままにしているなら、Windows 7が動作しているPCをネットワークから切り離し、1つの独立したPCとして利用すべきだ。また、USBメモリなどでデータを持ち込む際は、セキュリティに最新の注意を払って操作する必要がある。
また工場だけでなく、業務特化型のソリューションなどでは現在もWindows XPを利用している場合がある。例えば、歯科医院などで歯のレントゲン画像を表示する診療台に備え付けられるPCなどは、Windows XPという場合もある。
こういったソリューションで利用されているPCは、開発メーカーが通常のOSではなく、組み込み機器に向けたWindows 10 IoT(旧Windows Embedded)などを利用して、セキュリティアップデートや大規模アップデートをコントロールしていくべきだろう。こういったソリューションに利用しているPCは、セキュリティがずさんになりやすいので、サイバー攻撃などで狙われやすい。
繰り返しになるが、Windows 7の延長サポートは2020年1月に終了する。2020年1月以降はセキュリティアップデートが提供されない。もし重大なマルウェアが流行しても、MicrosoftにはWindows 7のユーザーへセキュリティアップデートを提供する義務がない(あまり流行するようだと善意で提供する可能性もあるが)。
こういったことを考えれば、企業では2019年中にはWindows 10への移行が必要だ。もう2年半を切るタイミングである。まだ、Windows 10への移行をためらっているなら、すぐにでも移行計画を立ててほしい。セキュリティ面や機能などを考えれば、Windows 10は、Windows 7に比べると優れていることが多い。だからこそ、Windows 10を怖がらずに、積極的に移行すべきといえる。