RPAの価値

RPAはホワイトカラー生産性向上の決定打

信國泰(デロイト トーマツ コンサルティング) 2017年08月28日 07時00分

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 ここ数年で非常に速いスピードでRPA(Robotic Process Automation)の実務活用が進み、各企業がそれぞれの進め方で導入してきたが、初期段階と比べるとかなり進め方にLessons Learnedを得られてきている。当初は何はともあれProof of Concept(POC)をやって試しに入れてみよう、という感覚で少額の投資で賄える範囲でPOCを進める企業が多かった。だが、POCの次のステップに進む企業が多くなり、そこで得られた知見を基に必ずしもPOCを経ないでも論理的に効果が出るかどうかを検証する手法が確立されてきている。

 より早い効果の刈り取りを目指すのであれば、必ずしも「今後本格的に活用するかわからないが、まずは試してみる」という段階を経ず、早い段階で適用領域を見据えて効果算定を進めて素早く進めていくアプローチもありえるようになった。

 実際の進め方については、各社によっていくつかの要素を組み合わせてカスタマイズされたアプローチを取ることが必要ではあるが、本格的な展開を進めていくにあたって方向性を見据えておくべき要素をいくつか挙げる

RPAに何を期待するのか

  • 業務工数/コスト削減 

    言うまでもないが、人的作業を代替し自社の社員の業務工数を削減する効果は非常に大きい。ロボット1台当たりの単価はオフショア単価よりもさらに1/3程度。

  • クオリティ/スピード向上 

    RPAによる処理は正しく設計されている限り間違いは起こりえない。処理結果のチェックなどの周辺業務の削減効果も大きい。コスト削減にも寄与することであるが、RPAによる処理は人間の処理と比較すると数倍~10倍以上の速さになる。人間の処理には迷い・考える時間・何かを参照して確認する、などの処理としてのアイドルタイムが多く出るが、RPAはそれらを一瞬でこなして処理していくため、複雑な処理になればなるほど人間よりもはるかに速く処理できる。RPAは最大で24時間365日働き続けることも可能だ。人間であれば日中しかサポートしえないリクエストに対する応答が、いつでも即応できるような導入の仕方も可能である。

  • セキュリティ向上 

    すべての作業ログを残すことも可能であり、トレーサビリティが非常に高い。監査への適応性も向上すると言えよう。処理のためにやむを得ず人間が情報に触れざるを得ないような処理にRPAを活用することで情報の開示範囲を狭めることができる。給与などは端的な例である。

  • 拡張性の確保 

    繁忙に合わせてリソースのアロケーションが人間よりはるかに柔軟に可能。月中はマーケティングや予算や見込み取りまとめなどの作業に振り向け、月末・月初にはその期間に寄りがちな受注処理、決算関連に振り向ける、など繁閑に合わせた配置換えを行うことも可能。

  • 労務管理の容易性 

    メンタルケアなどが不要である点は非常に大きな魅力である。煩雑でモチベーションの上がらない処理を可能な限りRPA化していくことで社員の士気向上に大きく寄与する。残業を減らすことで年々厳しくなる労務管理への対応や労働組合からの残業抑制などの要求などに応えていくことにも大きく寄与すると言えるだろう。

 これらのすべてを総合してRPAは“ホワイトカラーの生産性向上”に寄与する、というわけである。

運用段階においてどのような体制でRPAを運用していくか

 導入規模の大小を問わず、どのような体制で運用していくのかというのはどの企業にとっても非常に悩みの多い部分だ。早い段階でRPAに着目した企業においては、特定の業務部門がRPAにいち早く目を付けて、業務部門主導でRPAを導入してきたケースが多い。そういったケースにおいては自部門において運用しているケースが多い。

 だが、導入の規模が大きくなっていくにつれ、情報システム部門の関与は不可欠になってくる。どちらかというと特定の部門主導で動いていた段階から、複数の部門がRPA化に向けて動くと、それぞれの部門は当然自部門において必要となる要件を満たすRPAツールを採用したいと考える。いくつものツールをそれぞれに採用した各部門が完結して運用できていればまだいいが、IT部門も導入・運用に関わっていくとなると、複数のスキルセットをIT部門のほうで賄っていかなければならないことになる。

 2、3ぐらいのツールであればまだしも、4つも5つもあるとIT部門としてはたまらない、と考えるだろう。もちろん導入段階で外部ベンダー、SIerやコンサルティングサービスを活用することは多いが、導入後そのまますべて導入を担当した会社に外部委託するのではコスト面で不利なケースもあり、運用局面を考慮しない導入はいずれ破たんすると言える。

 運用体制面においては端的に、1.自社運用か外部委託か、2.自社運用の場合、IT部門をはじめとする運用組織でやるか、各業務部門がメインとなり運用するか、をある程度方向性を見出しながら導入計画を考えるべきであろう。もちろんすべてを外部委託しなくとも外部から過不足ない技術支援を受けられる体制をうまく組込むことも重要になってくる。日本よりも多少先行している米国などでは既に人材の募集要項に“RPAマネージャー”というタイトルを掲げて採用するなど、継続的な活用促進と運用を見据えた体制を作ろうと動いているのだ。

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