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女子高生にもセキュリティインシデントが影響する時代--この難局にどう対応すべきか

國谷武史 (編集部)

2017-08-28 06:00

 企業や組織でセキュリティのインシデントに対応する「CSIRT」。そのコミュニティーとなる日本シーサート協議会(NCA)が10周年を迎え、8月23~25日に都内で「NCA 10th Anniversary Conference『絆』」が開催された。同イベントでは、深刻さが増す一方のインシデントに、これからのCSIRTはどう対応していくべきかが最大のテーマとなった。

 2006年に6つのCISRTでスタートしたNCAは、日々発生するセキュリティのインシデントに連携して立ち向かうことを目的に誕生した。ウイルス感染などの事象から標的型攻撃、サイバーテロなどへインシデントの深刻さが増すにつれ、特に近年はCSIRTを立ち上げる企業や組織が急増。2017年8月4日現在では241のCSIRTがNCAに参加している。

インシデントの影響が伝わらない

 24日の講演では、東京大学情報学環 セキュア情報化社会研究寄付講座 特任准教授の満永拓邦氏が、「インシデントとCSIRT ~これまでと、これから~」と題して、これからのインシデント対応に求められる視点を紹介した。

東京大学情報学環
東京大学情報学環 セキュア情報化社会研究寄付講座 特任准教授の満永拓邦氏

 満永氏は、長年にわたってJPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)で数々の大規模インシデントに対応してきた経験を持つ。講演では私見と断りつつ、その経験からインシデント対応における課題を挙げてくれた。その1つが、インシデントの影響が広がることによる周知や理解を促すことの難しさだ。

 というのも、昔のインシデント対応はセキュリティ関係者同士の連携がしやすい時代だったようだ。例えば、国内のセキュリティ関係者にとって毎年9月18日は、一種の“恒例行事”となっている。

 1931年のこの日に起きた「満州事変」という歴史的背景により、中国が発信元とみられる多数のサービス妨害(DoS)攻撃やウェブサイト改ざん攻撃が毎年発生する。政府や省庁、企業などのウェブサイトに中国語で政治的なメッセージが書き込まれたり、ウェブサイトが閲覧しにくい状態になったりする事態が、当初はニュースにもなった。

 毎年、ほぼ“確実に”発生するインシデントとなれば、その対応や連携もしやすい。「近年の攻撃は下火になっているが、毎年8月頃から標的にされやすい組織同士で連絡を取り合い、担当者の近況や人事異動などの様子も分かる機会だった」(満永氏)

 異なる組織であってもインシデント対応の担当者には、攻撃で狙われるという共通点と、「被害をいかに抑えるか」という共通の目標があった。そこで組織の垣根を越え、連携する「9.18対応」が生まれた。

 しかし、インシデントの影響がセキュリティに詳しくない企業や組織、一般の人々にも及ぶようになると、対応の難しさが表面化していく。例えば、2011年に出現したマルウェア「DNS Changer」は、DNS(Domain Name Server)を改ざんし、インターネットユーザーが不正サイトに誘導されてしまう。JPCERT/CCでは、感染の有無を確認できるチェックサイトを立ち上げ、感染が疑われる組織に連絡も行った。

 連絡を受けた組織では、状況を調査してマルウェアの影響を排除する対応が求められるだろう。ところが、JPCERT/CCからの連絡を疑ったり、無視したりするところが少なくなかったようだ。現在でもまだ多いとは言えないが、当時はセキュリティに関する連絡を受け付けるという仕組みが企業や組織でほとんど整備されていなかったからだろう。満永氏はこの時、一般の組織やユーザーにアプローチする難しさを実感したという。

 その後も、2013年には韓国で金融機関や放送局のシステムがダウンする大規模なマルウェアのインシデントが発生し、特にATMが使用不能になるなど、市民生活に大きな被害が出た。

 また2014年には、Internet Explorer(IE)の脆弱性が世界中で報道され、世間をにぎわせた。当時は、「IEを使わない方がいいから、なぜかYahoo!を使わないでGoogleで検索してという話になった」「上司から『IEは危険だからインターネット禁止!』という謎の命令が出た」といったツイートも飛び出し、途方に暮れたセキュリティ担当者やIT担当者は少なくなかったはずだ。

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