CSIRTとその連携の意義
「Heartbleed」は、脆弱性史上初めて(かもしれない)アイコンが付けられた
一方で満永氏にとって、インシデント対応の難しさを乗り越えていくきっかけもあった。その1つが、2014年に明るみになったOpenSSLの脆弱性、通称「Heartbleed」だったという。「CSIRTの必要性を強く実感した」(満永氏)
この時は脆弱性の公表直後に攻撃コードも出現した。企業や組織ではシステムを止めて直ちにアップデートしなければならなかったが、稼働中のウェブサイトの停止は事業にとって死活問題と考えるところが少なくなかった。IT部門や事業部門など、さまざまな部署間の調整をしている最中に攻撃を受ける組織が多発した。
「もしCSIRTがあれば調整と対応が速やかにできただろうと感じた。同時にセキュリティの情報収集力も必要だと実感した出来事だった」と満永氏。2017年8月もOpenSSLの脆弱性を突いたとみられる不正アクセス事件が報じられたが、「Heartbleedであるかは不明だが、仮にそうだとすれば、発生から3年が過ぎた今でも問題が続いている」という。
満永氏はこうした経験から、今後もインシデントの影響がおよぶ対象が広がり、その対応もますます困難になっていくと指摘する。だからこそ、インシデントに対応するCSIRTが必要であり、CSIRTも単独ではなく、NCAのような“場”を通じて連携していくべきだと語る。
インシデントが広がる時代にこそ、垣根を超えたCSIRTの連携が重要になってくる
加えて、IoTへの関心の高まりなどを背景に、今後は制御システムにおけるセキュリティの連携も課題になるとした。安定稼働の“死守”が命題となる制御システムのセキュリティ対策は、ITシステムとは異なる視点や方法も多いだけに、満永氏は「分野の異なる組織や人々とも連携しながらインシデントに対応していくべきだ」と提起した。