日立製作所は8月29日、重要インフラ事業者がサイバー攻撃に対応するための訓練サービスを30日から提供すると発表した。訓練と検証のための施設を大みか事業所(茨城県日立市)に開設した。
サービスは、まず電力事業者を対象に提供する。発電所の制御システムを模したシステム環境を施設内に構築し、システムの監視や指揮命令を行う部門の組織の訓練を目的としたプログラムならびに、サイバー攻撃対策の運用手順の検証やセキュリティ製品の評価をできるようにする。
日立製作所大みか事業所に設置されたサイバー防衛訓練サービスの施設(提供:日立製作所)
日立は、5月にイスラエルのセキュリティ企業CyberGymと協業し、同社のサイバー防衛演習関連サービスやソフトウェアの日本での独占販売契約を締結。今回のサービスを今後強化し、2018年をめどにCyberGymのノウハウを取り入れたサービスも予定する。
今回のサービスは、社会インフラやプラントなどの事業者で、制御システムや情報システムを監視する部門、緊急対応の指揮命令を行う部門、経営幹部を対象にしている。訓練ではサイバーセキュリティに関する講義だけでなく、社内体制と同等の模擬的な組織体制やシステム環境と、最新の攻撃シナリオによる実践演習での体験を通じて、有事における適切な対応行動をとれるようにするのが狙いとなる。
同時に、重要インフラ事業者が整備しているサイバー攻撃に備えたシステムやその運用手順、セキュリティ対策製品を評価検証することで、有事対応に必要な環境を見直すことができるという。