日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は8月28日、2016年度に「プライバシーマーク」(Pマーク)付与事業者から報告された個人情報の取り扱い事故の状況を発表した。2016年度は全付与事業者の5.5%にあたる864の事業者で2044件の事故が発生した。
事故原因の内訳は、メールの誤送信による漏えいが424件で最も多く、全体の20.7%を占めた。以下は、「紛失」(20.0%)、「あて名の間違いなどによる漏えい」(14.8%)、「その他漏えい」(13.8%)、「封入ミスによる漏えい」(13.4%)などだった。
特に「その他漏えい」は281件と、前年度から2倍以上増加した。内訳は「事務処理・作業ミスなど」が100件、「システム/プログラム設計・作業ミス」が98件、「不正アクセス・不正ログイン」が57件、「口頭での漏えい」が27件、「システムのバグ」が8件となっている。
JIPDECによると、Pマーク取得事業者の増加を背景に、2016年度に事故が起きた事業者の数と件数は直近の5年間で最多だった。また、IT関連事故の件数増や複雑化の傾向がみられ、被害対象の規模が大きいことや金銭的被害に結び付くケース、ニュースになるような話題性を伴うケースがあると指摘する。
システムやプログラム上の問題による事故は、公開や表示設定の間違い、アクセス権の設定間違い、想定外の処理などが原因になる場合が多い。特にシステムの導入や移行では、担当者や業務委託先に任せきりにしてしまうことに注意が必要だとしている。
また、従業員による個人情報データの持出しや不正使用、システムの脆弱性を突いた不正アクセスによる情報漏えい、第三者のなりすましによる不正行為といった、ITにまつわる事故も発生し、JIPDECは以下の対策ポイントを挙げている。
- 個人情報抽出用端末の制限
- 退職者対応
- 外部への接続制限
- データの管理
- 複数名による作業の徹底や不正アクセス検知モニタリングの強化
- システムの脆弱性等の早期発見と対応
- なりすましを防止するシステムへの改善