Joyentという企業により設立、開発が主導されてきたNode.jsのソフトウェア監督手法に対して、コミュニティーのメンバーが幻滅を感じたのは今回が初めてではない。3年前の話だが、その際には同コミュニティーから「Io.js」というプロジェクトがフォークするという事態に発展した。このIo.jsに敬意を表し、Ayo.js(呼び方はIo.jsと同じだ)と名付けられたプロジェクトが25日に産声を上げた。
Marchan氏によると、同プロジェクトは生まれてからまだ1週間余りしかたっていないとはいえ、数十名の開発者と100人以上の人々がそのチャットプラットフォームに参加したという。
Marchan氏は「少数の人間が大きな権力をたてにコミュニティーにとって必要なことを押しとどめられるという場合、彼らはもはやコミュニティーを代表していると言えない」と述べている。Ayo.jsは、現時点ではNode.jsとまったく同じ内容となっており、まだ揺籃期にあるものの、Node.jsの体制下で作業する人々が直面していた問題のいくつかを解決するための新たなオープンガバナンスモデルの策定作業を既に開始している。
Ayo.jsにより、オープンソーステクノロジはオープンで透明でなければいけないという事実が再認識されたと早くも捉えられている。自らの考えが具現化されていない、あるいは自らの主張が聞き届けられないと感じたのであれば、コミュニティーは自らの手で新たなコミュニティーを作ることができるのだ。
Williams氏は「Ayo.jsは、Node.jsを非難するためのものではないし、Node.jsを殺すものでもない。Node.jsをより良いものにするためのプロジェクトだ」と述べている。
同氏は、「これはNode.jsをさらに良いものにできるという発想であり、多くの素晴らしい人々をこのプロジェクトへの参画から遠ざけたガバナンスの失策に着目している」と述べている(同氏はNode.jsの理事会メンバーであり、Ayo.jsプロジェクトには関与していない)。
Node.jsコミュニティーのある上級メンバー(匿名を希望している)は、「人間が関与するシステムにおいては一連の価値を共有する必要がある。こういった価値は、技術的かつ倫理的な意味合いにおいて、人々がトレードオフの絡む意思決定を行うための手段となる」と述べ、「価値がグループを構成する人々の間で100%共有されることなど滅多になく、実際のところ個人でさえも価値についての葛藤がしばしばあるため、プロジェクトのメンバー間で妥協できない差異が表に出てくることも珍しくない」と続けている。
今回の動きを支持するこの人物はAyo.jsについて、「このプロジェクト設立は非常に直接的な行動であり、『これがわれわれの価値だ。われわれは蚊帳の外に置かれ、満足できないのであれば(コミュニティーを)去るだろう』と主張するものだ」と述べている。
プロジェクトを2つに分割するという考えは多くの人々の懸念を呼んでおり、Node.jsプロジェクトの将来について不安を感じている人もいる。しかし米ZDNetが話をしたMarchan氏をはじめとする人々は、この点についてあまり心配していない。Io.jsがNode.jsからフォークされ、再び元のプロジェクトへとマージされるまでの経緯を見れば、Ayo.jsの成功も同様にNode.jsの成功と見なされることが分かるはずだ。フォークしたオープンソースプロジェクトは、既存の成果に基づいて弱点を洗い出し、そのテクノロジを土台にして発展し、優れた部分を選択的に元のプロジェクトに還元できるのだ。