Hadoopブーム再来
ビッグデータ分析の成熟度の高まりをテクノロジから見た場合、草地氏はセルフサービス型のビジネスインテリジェンス(BI)の普及と、クラウドサービスや非構造化データへの注目があると、分析する。
調査では、何らかの形でセルフサービスBIを利用している企業が67.0%に上り、原則としてビッグデータ分析にパブリッククラウドを使わないとした企業は16.5%だった。「特にクラウドは、以前ならデータを社外に出すことへ抵抗を感じる企業が多かったが、現在ではクラウドの方が安全だと考えるようになり、データ分析での利用意向が高まっている」(草地氏)
また、テキストや画像といったさまざまな非構造化データの処理では、クラウドとHadoopなどのソフトウェアを利用する仕組みが1つのモデルとして定着している。
テクノロジ面でもビッグデータ分析に関わるサービスやツールの利用が加速している
ビッグデータ分析を目的にHadoopを導入している企業は8.9%だったが、21.6%が2017年中に導入するとし、2018年以降の具体的な導入計画を持つ企業は21.1%、時期未定の導入検討も16.4%に上る。2010年頃にいったんにぎわったHadoopに再ブームが到来し、今後数年でHadoopの企業採用が一気に増えると見込む。
草地氏によれば、従来のビッグデータ分析は、既存ビジネスの状況を数字で把握することで改善につなげることが主な目的だった。今後は、「デジタル変革」と称される新たなビジネスや取り組みにつなげる知見を得ることが目的になり、データそのものを商品として外販するような形態も生まれるだろうと予想する。
ただし、現状ではデータサイエンティストやチーフデータオフィサーなどの専門人材が圧倒的に不足し、企業での取り組みに遅れが懸念される。また、データ分析を通じたビジネスの変革を経営課題に位置付ける企業が増え、ユーザー企業がツールやサービスの内製化に取り組み始めた。
今後ユーザー企業は、データ分析とその活用に関する重要性を理解して全社的な戦略を進め、人材面ではスキルのある専門家を外部から獲得し、テクノロジ面では、データ分析の部門とIT部門が、外部リソースも活用しながら戦略に基づく行動を進めていくべきだとしている。