Oracleは米国時間8月31日、「Oracle Internet of Things(IoT)Cloud」に対する一連の機能拡充を発表した。これにより、デジタルツインやデジタルスレッドを実現する際に人工知能(AI)機能や機械学習機能を活用できるようになる。また同社は、デジタルフィールドサービスと、スマートコネクテッドファクトリ、デジタルフリート(運行)管理向けの業界特化型ソリューションも発表した。
OracleはIoTの配備や導入を容易にし、ビジネスの価値を向上させることを目的に、その取り組みを強化してきている。Salesforce.comやSAPと同様、Oracleは企業データと顧客データをIoTやアナリティクスで融合させることでビジネスの価値を高められると主張している。
IoT CloudにおけるOracleの最終目標は、予防保守や在庫の追跡といった取り組みに向けた拡張現実(AR)と仮想現実(VR)の融合だ。IoTとOracleシステム、AR、VRがどのように融合されるのかを示す同社のデモがそのことを示していた。
同社のIoTソリューション担当バイスプレジデントであるLionel Chocron氏はこのデモにおける説明のなかで、アーリーアダプターらがARやVRに目を向けていると指摘した一方で、関心の高まりをけん引しているのは製造業をはじめとする業界だとし、「われわれの目標は、IoT(の利用)を容易にし、業務上の成果に焦点を当てることだ」と述べた。
Oracleは、IoTアプリケーションに関する意思決定を下すのは企業幹部だと考えているようだ。IT部門も意思決定に携わるものの、企業の意思決定者は時間をかけずに実装できる統合アプリを望んでいるのだ。
同社による概要説明は以下の通りだ。
- IoT Cloudアプリは、デジタルツインとデジタルスレッドを実現する機能を搭載するようになる。これはサプライチェーンとAI、機械学習ツールの統合と相互連携、最適化に向けた取り組みだ。
デジタルツインとAIの概要については以下の通りだ。
- 資産監視(「IoT Asset Monitoring Cloud」)や製造監視(「IoT Production Monitoring Cloud」)、運行監視(「IoT Fleet Monitoring Cloud」)、作業員の連携(「IoT Connected Worker Cloud」)といったIoTベースのソリューションの一部として現場に展開されるIoTアプリは、ERPシステムやサプライチェーン管理(SCM)システムを用いたワークフローの予測や自動化を実現するための拡張機能を利用できるようになる。
- 同日にローンチされた、業界特化型の新たなIoTソリューションには、「Smart Connected Factory」や「Digital Field Service」「Digital Fleet Management」が含まれている。
- Oracleは、IoTデバイスやIoTシステムのインテグレーションパートナーを拡大してきている。
Oracleは、アプリケーションと企業データを中心として展開するIoTへのアプローチを目指している。こうしたIoTプラットフォームの分野には、非常に多数の企業が取り組んでおり、GEからAmazon Web Services(AWS)までさまざまなプレーヤーが存在する。OracleのIoTを導入する企業には、Vinciや三菱電機、ソフトバンク、Nobleなどがある。
長期的な観点から見た場合、データとバックエンドシステム(SAPやOracleといった企業が提供するもの)がセンサやIoTと緊密に結合した場合にIoTの配備が迅速に行えるかどうかは不明確かもしれない。しかし理論的には、データアグリゲーション用のプラットフォームによってさまざまなシステムからすべてのデータを抽出し、IoTからビジネス価値を生み出せるようになるはずだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。