ライブの盛り上がりを定量化
エイベックス・グループは、7月に開催した人気アーティストグループ「lol」(エルオーエル)のコンサートで、AIサービス「Microsoft Cognitive Services」を利用して観客の表情から盛り上がりの様子を分析する実証実験を行った。
エイベックス・グループ・ホールディングス グループ執行役員 戦略室長の加藤信介氏は、「観客の表情や会場の雰囲気からライブのどこで盛り上がったのかを感覚的に把握できるが、データで知ることができればファンによりすばらしい体験を提供でき、アーティストのモチベーションにもつなげられるのではないか」と話した。
実証実験では、コンサート会場やグッズショップに設置したカメラでファンの表情を読み取り、Microsoft Cognitive Servicesで時間ごとの感情の変化を分析。これによって例えば、多くのファンが「喜び」を感じた曲やMCの場面、その前後の状況などが可視化された。
加藤氏は、「エンタテインメントとテクノロジを組み合わせることで、今までよりも大きな感動をさまざまな方法をファンに届けられるのではないかと期待している」と話す。

エイベックス・グループは、Cognitive ServicesとPower BIでライブ会場の空気を“可視化”している
トヨタのラリーカーを仮想メンテ
会場には、Microsoftが技術スポンサーを務めるトヨタ自動車「TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team」のラリーカー「Yaris」(日本では「ビィッツ」)も展示され、HoloLensでYarisをメンテナンスするデモが紹介された。
トヨタは18年ぶりに、Yarisで世界ラリー選手権(WRC)に復帰した。WRCは市販車ベースの競技車両を使い、世界各国の公道を特別に封鎖した競技区間(スペシャルステージ)の通過時間の早さなどを競う、F1などに並ぶ最高峰の自動車レースの1つ。Microsoftは競技車両やチームのデータ処理基盤や、チームメンバーのコラボレーションツール、ファン向けのデジタルソリューションを提供している。
会場のYarisは車内が隠され、内部やエンジンルーム、サスペンションやタイヤ周りのコンピュータグラフィックスが、HoloLensを通じて実車の画像に組み合わせて表示される。HoloLensを装着した状態で、操作メニューのコンピュータグラフィックスに触れると、例えば、タイヤの最適な空気圧設定などが通知されたり、エンジン回りのセンサの数値や異常箇所を表示したりできるという。
デモを行った業務執行役員 エバンジェリストの西脇資哲氏は、「車両情報やメンテナンスマニュアルが目の前に表示されるので、工具や文書を持ち換えるような手間が無く、効率的な作業ができる」とMRソリューションのメリットを紹介した。

トヨタ「Yaris」(日本ではビィッツ)のWRCカーをHoloLensとMRでメンテナンスするデモ