板金加工やプレス、切削などの工作機械・器具を製造、販売するアマダホールディングスは、顧客サポートとコンサルティングを提供するためのIoTプラットフォームを構築した。プラットフォームに採用されたセールスフォース・ドットコムが8月31日に発表した。
アマダは、2020年度をゴールとする中期経営計画として「強固なバリューチェーンの再構築による競争優位性の確保」と「サプライチェーン管理によるさらなる収益性と効率性の向上」を軸にした取り組みを推進している。その中で、プロアクティブなメンテナンスをサポートすることも含め、顧客の生産性を向上させることを顧客価値と定義し、それを支えるためにIoTの活用、「つながるモノづくり」が必須と考えたという。
具体的には、これまで顧客が使うマシンのトラブルを未然に防ぐための予防予知の仕組みが充実していなかったのに対し、IoTを駆使してより付加価値の高いサービスやコンサルティングを顧客に提供することを目指すことにした。
2015年に顧客を支える新たなビジネスモデル「V-factory」を立案。今回これを支えるIoTプラットフォームとしてSalesforceを採用した。
第一段階として、顧客現場の情報をリアルタイムに可視化し、顧客をサポートする「アマダIoTサポートセンター」を「Service Cloud」で、顧客が自在にマシンの稼働・生産状況を把握したり、消耗品の受発注を可能にしたりする顧客専用サイト「My V-factory」を「Community Cloud」で構築する。My V-factoryに「Einstein Analytics」を採用することで、顧客が見たい切り口で情報を加工、再編集してさまざまな気付きを得られるという。
人工知能(AI)による画像認識技術を顧客情報管理システム(CRM)に活用するための「Einstein Vision」をCommunity Cloudで構築したMy V-factoryと連携する検証も実施中。例えば、加工した製品の写真を撮影してEinstein Visionにアップすれば、製品をより安定した品質で加工できるよう最適なパラメータの設定値が自動的に表示され、My V-factoryで顧客と共有するインテリジェントコミュニティーを実現していくとしている。
V-factoryは、2018年にまず日本市場で展開を始め、その後米国、欧州、中国、ASEANへとグローバル展開する予定。次の段階として、富士通とアマダがV-factory実現に向けて開発した「V-factory Connecting Box」で顧客のマシンから取得したセンシングデータや稼働ログデータをEinstein AnalyticsやService Cloudと連携し、マシンの予防保全による止まることのない生産活動の支援に向けて拡張していく方針だ。
今後は、エンジニアリングサービスマジメントを最適化する「Field Service Lightning」を活用して最適な拠点から最適なタイミングでのサービスエンジニアの派遣、Einsteinを活用して顧客からの問い合わせに対する最適な解決策の自動推奨、自動回答などにも取り組み、顧客サポート効率化も見据えているという。