洞察にたどり着く「拡張BI」を強化--Yellowfinが新バージョン

國谷武史 (編集部)

2017-09-05 17:13

 ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを手掛けるYellowfinは9月5日、BIプラットフォームの最新版「Yellowfin 7.4」を発表した。ユーザーが洞察を得るまでのプロセスを短縮する「拡張データディスカバリ」機能を搭載し、10月にリリースする。

 2003年にオーストラリア・メルボルンで創業したYellowfinは、グローバルでは約2万5000社、国内では約350社のユーザーを抱える。2008年に設立した日本法人を2017年から東アジアの事業拠点に位置付け、日本を含む東アジア市場での展開を強化している。

Yellowfin
Yellowfin 創業者CEOのGlen Rabie氏

 記者会見した創業者兼最高経営責任者(CEO)のGlen Rabie氏は、最新版では、従来型BIツールの課題だという、対象データの洗い出しや分析などプのロセスにおけるユーザーの負担を軽減することに注力したと説明。「BIは過去の事実を知る手段に過ぎず、ユーザーが洞察を得るには時間がかかる。それがユーザーの不満であり、BIの価値も低いままだった」と述べた。

 日本法人兼東アジア事業の責任者を務める林勇吾氏によれば、BIツールに関するさまざまな調査の結果から、企業のBI利用率は20%未満にとどまるという。企業のBIユーザーには、データサイエンティスト、事業部門、IT部門の3つのタイプがあるとし、「多くのBIベンダーはいずれかのユーザータイプしかみていないので、ニーズに応えていない。Yellowfinは3つのタイプ全てに着目し、セキュリティやガバナンスも含めたBIプラットフォームという点が異なる」と差別化ポイントを挙げた。

BIプラットフォームとして、データサイエンティストや事業部門、IT部門の3タイプのユーザーをカバーするという''
BIプラットフォームとして、データサイエンティストや事業部門、IT部門の3タイプのユーザーをカバーするという

 最新版の拡張データディスカバリ機能は、ユーザーが手作業で開発、実行してきたさまざまな分析のアルゴリズムやロジック、プロセスを自動的に実行することで、ユーザーが分析結果から洞察を得るまでの手間や時間を大幅に削減するという。

 例えば、市場ごとの売上実績に差異が生じる原因を知りたい場合、最新版では、ユーザーが比較したい市場のデータを並べるだけで、ツールが商品別の販売動向や、購入客の属性の特徴といった知見を幾つものパターンで提示する。ユーザーは提示された知見から洞察を得る作業に集中できるようになる。

 また、システムが提示する知見のパターンをユーザーが登録しておくことで、時間的な変化をたどることや、複数のユーザーで共有できるようにもした。Rabie氏は、「これまでのBIとは異なる、拡張型BIとアナリティクスの価値をユーザーに提供する」と表明した。

最新版では、分析に基づく多数の知見をシステムが自動的に提示し、ユーザーがお気に入りに登録したり、別のユーザーと気軽に共有したりできるという''
最新版では、分析に基づく多数の知見をシステムが自動的に提示し、ユーザーがお気に入りに登録したり、別のユーザーと気軽に共有したりできるという

 この他に最新版では、簡易的なETL機能という「データトランスフォーメーションモデル」のβ版も搭載。今後は、データソースからデータウェアハウスの領域もカバーすることで、BIプラットフォームを強化していくことにしている。

 最新版と併せて同社は、NTTデータ子会社で主に中国でのオフショア開発事業を展開するNTTデータ・チャイナ・アウトソーシングとの協業も発表。代表取締役社長の中村逸一氏は、「中国のBI市場は年率20%で成長しており、2017年は200億元が見込まれる。Yellowfinの特徴は中国のニーズに合致しており、まずは現地に進出する日系企業を中心に80社への導入を目指したい」と述べた。

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