本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、一般社団法人高度ITアーキテクト育成協議会の村井純 理事長と、日本オラクルの大月剛 常務執行役員の発言を紹介する。
「高品質なサービスを技術で提供する“日本のお家芸”を発揮できる人材を育成したい」
(一般社団法人高度ITアーキテクト育成協議会 村井純 理事長)

一般社団法人高度ITアーキテクト育成協議会の村井純 理事長
一般社団法人「高度ITアーキテクト育成協議会」(AITAC)が先頃、総務省のワーキンググループを推進してきたNTTコミュニケーションズ(NTT Com)など6社によって、IoT(Internet of Things)時代に求められる高度なITアーキテクトの育成を目的として設立された。冒頭の発言は、同協議会の理事長に就任した慶應義塾大学環境情報学部長兼教授の村井純氏が設立発表会見で活動に対する意気込みを語ったものである。
AITACを設立したのはNTT Comのほか、伊藤忠テクノソリューションズ、NEC、KDDI、シスコシステムズ、日商エレクトロニクスで、設立日は7月26日。AITACは、「Advanced IT Architect Human Resource Development Council」の略。高度ITアーキテクトとは「ソフトウェアによるITインフラ運用・管理スキルを有する人材」のことをいう。総務省のワーキンググループで検討されてきたテーマを具体的な活動に移そうということで、AITACが設立された格好だ。

AITAC設立発表会見の様子。正面左側に座っているのは設立メンバー6社の代表者
村井氏は会見で、「IoT時代にはソフトウェアによるITインフラの運用・管理によって自社サービスの柔軟かつ迅速な提供が可能になり、IT関連企業のみならずユーザー企業においても、ITインフラを運用・管理できる人材に対するニーズはさらに高まることが予想される」として、「IoT時代のITインフラを支える人材の育成」に向けてAITACを設立したと説明した。
具体的な活動内容は、国内外の社会人や学生を対象に、SDN(Software Defined Network)およびNFV(Network Function Virtualization)などの技術・スキル習得のための体系的な育成カリキュラムの策定・提供、産学と連携した教育訓練の場の整備ならびに、SDN/NFVなどの情報通信技術に関する資格認定制度の整備を実施する。これらを通して、ネットワークとコンピューティング両方のスキル、仮想化や外部クラウドなどのソフトウェア資源を活用できるスキルを所有し、ITインフラを運用・管理できる人材を育成することを目指すとしている。
村井氏は、「高品質なサービスを技術で提供するのは“日本のお家芸”のようなもの。IoT時代にもそれを発揮できるようにITインフラの運用・管理をしっかりと行える人材をもっと育成していくのが、国内だけでなく世界中での日本のIT産業の役割と責任だと、私は考えている。AITACはそうした確固たる使命をもって志を高く、これからの活動にまい進していきたい」とも。このところ、世界の中での日本のIT産業は存在感が小さくなっているイメージもあるが、果たして村井氏が言う「志」が大きく広がるか、注目しておきたい。