警察庁は9月7日、2017年上半期のサイバー脅威動向を発表した。攻撃メールの発生件数が大幅に減少した一方、マルウェア感染などを狙う添付ファイルの種類が広がるなど、手口の多様化がみられる。
期間中に全国の警察が把握した攻撃メールは589件で、2016年下半期から1506件減少した。内訳では不特定多数に送り付ける「ばらまき型」が89%を占め、特定の相手に送り付けるなど「ばらまき型以外」は11%だった。攻撃メールの96%が非公開のメールアドレスに送り付けられていた。送信元のメールアドレスの99%が偽装され、大学や銀行になりすます手口が多い。
攻撃メールの添付ファイルの種類は、2016年上半期に99%を占めた圧縮形式が44%に減少。これまでほとんど観測されなかったPDF形式が36%、Excel形式が18%を占めた。Word形式のファイルにPDFファイルを埋め込む新たな手法も確認された。
圧縮形式のファイルの中身では、2016年下半期に91%を占めたJavaScriptファイル(.js)が2017年上半期は11%に減少し、それに代わってWindowsスクリプトファイル(.wsf)が41%に急増した。実行型ファイル(.exe)は2016年下半期の8%から、2017年上半期は16%に増加した。

攻撃メールに添付されたファイル形式の割合(出典:警察庁)

圧縮ファイルで送付されたファイル形式の推移(出典:警察庁)
警察庁が設置するセンサへのアクセス件数は、1日・1IPアドレス当たり2008.4件で、2016年下半期に比べて250.2件減少した。2016年下半期に目立ったIoTマルウェア「Mirai」とその亜種の特徴がみられるアクセス件数は同494.3件で、386.3件減少したが、引き続き多い状況にある。また、5月に発生したマルウェア「WannaCry」およびその亜種によるとみられるアクセスも継続的に観測されている。