クラウドプラットフォーム「Atlas」、GPUを動的に増減可能
Huaweiのプロダクト・ソリューション担当プレジデント、David Wang氏は、デジタルトランスフォーメーションの文脈でHuaweiの戦略を説明した。「企業はデータを収集して分析するという2つの行為が必要で、クラウド、そしてコネクトが重要だ」とWang氏。クラウドとコネクトはデジタルトランスフォーメーションを実現する両輪であり、Huaweiは”コネクト”の部分で30年間の通信機器事業で培ってきた技術があるという。
「500以上の通信事業者が我々の製品を利用しており、35億人のユーザーの”つなげる”を支援している」とWang氏、IP、マイクロ波、LTE、光などさまざまな分野でリーダーシップを発揮しており、低遅延かつ効率の良いコネクトを実現できるとする。「Huaweiの戦略は、クラウドをネットワークにつなげることだ」とWang氏。「両方ができるのはHuaweiのみだ」と言い切る。
クラウドでは、10年前からプライベートクラウドとパブリッククラウドに取り組んでおり、OpenStackでは3月にアジア企業として初めてプラチナメンバーとなった。企業別の貢献は、IBMやSUSEらを抑えて2位(1位はRed Hat)だ。
Huaweiのクラウドの技術について説明したITサーバー製品ライン担当バイスプレジデントのJoy Huang氏は、ハードウェア、ソフトウェア、データ、接続、アーキテクチャの5つで技術革新を行なっていると説明する。
ハードウェアでは、すでにx86サーバでは世界3位(出荷台数ベース)になっており、自動車メーカーがシミュレーションに採用するなど多数の事例があるという。ハードウェア分野ではこの日、クラウドハードウェアプラットフォーム「Atlas」を発表した。同社が7月に発表したバウンドレスコンピューティング戦略に基づくもので、Huaweiの主力サーバー「FusionServer G Series」をベースにGPU、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ストレージなどのリソースをプールできる。
このようなインフラのリソースプールに加え、柔軟な統合性によりハードウェアリソースを利用率を改善し、高い性能を実現できるという。論理サーバ内でGPUを動的ふ増やすなどのことが「1秒単位で可能」という。通常のx86アーキテクチャと比較して性能は10倍、使用効率は50%改善するとしている。「ダイナミックにGPUを増減できるのはHuaweiのオリジナル機能。現時点で他のパブリッククラウドでは同様の機能はない」とHuang氏は胸を張る。
用途としては、パブリッククラウド、AI、HPC(高性能コンピューティング)などを挙げている。バウンドレスコンピューティングとは、バウンドリ(境界)のない(=バウンドレス)という言葉通り、サーバの境界を超えてデータセンターレベルでリソースのプール、オンデマンドでのプロビジョニングを可能にすることで、アプリケーションに合わせて最適化できるというもの。
クラウドハードウェアプラットフォーム「Atlas」では、100以上のIPコアをサポートするヘテロジニアスコンピューティング、仮想マシンとGPUの疎結合によるハードウェアオーケストレーションなどの特徴を持ち、リソースプールを作成し、数秒で実装できる。
同日Atlasベースのクラウドサービスとして、Tesla P100を8基するAIトレーニング向けの「P1」、Tesla P4を16基持つ AI推論向けの「P11」も発表している。
すぐに使えるAI、NB-IoTでは安全な接続
2つ目のソフトウェアでは、16の分野で800以上のアプリを用意しており、「デジタルトランスフォーメーションではプロセスやニーズが変化するためアプリの再構築が必要となるが、開発の無駄を回避できる」とした。最低限のコーディングでコンポーネントをドラッグ&ドロップでアプリを簡単に構築できるという「AppBuilder」を紹介した。パブリッククラウド上では、ソフトウェア開発サービス「DevCloud」も提供している。