日本株展望

テンポアップするEV狂想曲--理由はエコ? 先進性? スタイル?

ZDNet Japan Staff 2017年09月13日 10時24分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今日のポイント

  1. 次世代エコカーとしてEV(電気自動車)を本命と考える国が増加。電池性能の飛躍的向上で航続距離・電池寿命が延びたことが追い風。新興国でも大気汚染対策の切り札と見られるようになった。一方、先進国の米国では、パワフルな加速や自動運転がEV人気を支えている
  2. EVは排ガスを出さないが、発電所でCO2を出すとの批判がある。EVは、発電所まで含めた総合エネルギー効率で見ても、ガソリン車を大きく凌駕しており、エコカーと評価できる

 これら2点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

世界的にEV導入熱がヒートアップ

米国12州でZEV規制強化

 米国カリフォルニア州など12州で、2018年モデルイヤー(2017年夏開始)からZEV(ゼロ・エミッション・ビークル=排ガスを全く出さないか、少ししか出さない車)規制が強化される。ZEV規制は、州内で販売の多い自動車メーカーに対し、ZEVの販売比率下限を定め、それ以上の販売を義務付けるものである。達成できないメーカーは、罰金を払うか、超過達成するメーカー(テスラなど)からCO2排出権を買う必要が生じる。

 2017年モデルイヤーまでは、HEV(ハイブリッド車)や低燃費ガソリン車までZEVの範囲に含まれていたが、2018年モデルイヤーからHEVと低燃費車が除かれ、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、燃料電池車、水素エンジン車の4種類だけがZEVとして認められることになる。

英国、フランス、インド、中国で、脱ガソリン車・ディーゼル車の検討始まる

 英国、フランスは、2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出した。大気汚染が深刻な中国やインドでも、EVの普及を促進する動きがある。インドは、2030年までに、新車販売を全てEVにするという野心的な計画を発表。中国も将来、ガソリン車・ディーゼル車の生産・販売を禁止する方針を打ち出した。

なぜ今、EVの人気が急に高まっているのか?

 これには、4つの理由がある。

(1)電池の性能が大幅に向上

 3年前までEVは航続距離(フル充電で走ることができる距離)が100~200キロしかなく、社会インフラ(充電ステーション)も整っていないことから、本格普及は難しいと考えられていた。

 ところが、この3年で自動車用電池の性能(蓄電量・劣化せずに充放電を繰り返す回数)が大幅に向上した。最先端のEVでは、航続距離が300~500キロまで延び、ガソリン車と遜色なくなってきた。

(2)大気汚染が深刻な新興国で、対策に本腰を入れざるを得なくなっている

 中国、インドは、電力供給の約8割を石炭火力に依存している。環境性能の低い旧式の石炭火力もかなり残っている。それに加え、自動車の急増が大気汚染を深刻にしている。

 中国・インドは、エコカーの導入を促進することと、原子力発電を導入することで、大気汚染を改善しようとしている。ただし、原発については安全性の問題などを理由に、導入を見送る国が増えている。

 大気汚染に苦しむベトナムは、昨年末、原発導入方針を撤回。原発導入が大気汚染対策の切り札と言えなくなりつつある。こうした中、自動車の排ガス対策は待ったなしで、取り組まざるを得なくなっているのである。

(3)自動運転の開発熱が高まっていることも、EV優位に働いている

 欧米、および日本で自動運転の開発熱が高まってきたことも、EV普及を推し進める要因となっている。自動運転が主流になると、自動車はセンサやモータなどの装着率が上がり、電子機器に近づいていく。ガソリン車でも自動運転は可能だが、EVの方がより親和性が高いといえる。

(4)米国ではEV独特のパワフルな加速が人気に

 米国では今、テスラモーターが生産販売する高級EVが人気だ。米国でEVが売れるのは、エコカーとして人気があるからだけではない。EV特有のパワフルな加速も人気である。

 米国では、ガソリン価格下落を受けて、燃費の悪い大型でパワフルなSUV(スポーツ用多目的車)人気が復活している。小型で燃費のいい乗用車はすっかり人気がなくなった。そんな米国でEVは、パワフルな加速が売りの「かっこいい車」として、人気が出ている。

 ガソリン車は、走り出すときは低速ギアを使い、スピードが上がるにつれて高速ギアに切り替える。ところが、EVはモーターを使うので、低速時でも最大トルク(止まっているものを動き出させる力)を発揮できる。したがって、EVはギアチェンジが不要だ。その結果、高級EVは、走り出しと追い越しの加速で、ガソリン車を凌駕している。そこが、自動車マニアにとって、EVの魅力となっている。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化