汎用IaaSの具体的なサービスは今年内に決定
それから、およそ1年半。サイボウズは米国での事業が成長軌道に乗り始めたのを機に、サンフランシスコにある米国法人の社名も「kintone Corporation」に刷新し、先述したように、現地での汎用IaaS上でkintoneを提供していく仕組みを採り入れることにした。これにより、「シンプルな構成で開発や運用をスピーディに実行できる環境をお客様に提供したい」(青野氏)としている(図1)。
図1:「kintone.com」の仕組み
ただ、汎用IaaSを採用する理由は冒頭で紹介したように、あくまで顧客の要望に応じるためだという。スケールメリットやコスト効率ではないのかと青野氏に聞いたところ、「それらの点で汎用IaaSが一概に得策とは言えない。もっと大規模になると、むしろ自前のIaaSのほうがメリットが大きいとの見方もある」とのことだった。いずれにしても、国内データセンターで利用したいという要望に応えるほど、サイボウズにとっては米国で大事な顧客を確保したようである。
さて、では肝心の汎用IaaSとはどこのサービスか。そして、いつからその上でkintoneのサービスを始めるのか。まず汎用IaaSについては「今年内に選定する」(青野氏)とのことだが、どうやら想定内のグローバル上位のメガサービスから採用しそうだ。また、サービス開始時期については「来年から移行作業を行い、できるだけ品質を高めてからスタートしたいので、現時点では未定」(同)としており、早くても2018年後半といったところか。
青野氏によると、汎用IaaS上でのサービスは「kintone.com」と名付け、米国を皮切りにグローバル市場を見据えた形で、これまでの「パッケージ製品」「cybozu.com」に続く同社の製品体系の柱の1つに育て上げていきたい考えだ(図2)。そのためにも「汎用IaaSに強い人材を積極的に採用したい」とのことだ。
図2:製品体系の新たな柱になる「kintone.com」
最後に、今回の取り組みで米国での事業をどれくらい伸ばしたいか、と聞いてみた。すると、「当社は、中長期の事業目標は立てない。あえて言うなら、米国で現在135社(8月末時点)の顧客数をどんどん増やしていきたい」。現在、kintoneの全体の顧客数は日本を中心に7000社(同)を超えている。その対比からみても、米国でのポテンシャルはまだまだ大きいとみられる。
果たして、青野氏がかねて抱いてきた「日本発のグローバルソフトウェア企業」に大きく踏み込んでいくことができるか。これからが正念場である。