「デジタルエクスペリエンスがビジネスの大きな差別化要因になってきている」
(米Adobe Systems Shantanu Narayen CEO)

米Adobe SystemsのShantanu Narayen CEO
アドビシステムズが先頃、企業のデジタルマーケティングを支援するクラウドサービス「Adobe Experience Cloud」の事業強化について記者説明会を開いた。冒頭の発言は、その会見や顧客向けイベントなどに向けて来日した米国本社の会長兼社長で、最高経営責任者(CEO)を務めるShantanu Narayen氏が、デジタルエクスペリエンスの重要性について語ったものである。
Adobe Experience Cloudの事業強化については、コンサルティングサービスを提供する「デジタルストラテジーグループ」を創設するとともに、新たな人材育成サービス「アドビデジタルマスターズワークショップ」を開始すると発表。その内容については発表資料をご覧いただくとして、ここではNarayen氏の冒頭の発言に注目したい。
まず、デジタルエクスペリエンスとは、デジタル技術を生かして顧客に感動を与えるような体験(エクスペリエンス)を提供することである。Adobeは現在、クリエイティブなデザインやコンテンツ制作に向けた「Adobe Creative Cloud」、ドキュメント業務を効率化する「Adobe Document Cloud」、そしてAdobe Experience Cloudの3つのクラウドサービスを提供しているが、デジタルエクスペリエンスはこれらに共通するAdobeの強力なアドバンテージである。(図参照)

図:Adpbe提供する3つのクラウドサービス
とりわけ、エクスペリエンスの言葉をそのまま使ったAdobe Experience Cloudは、デジタルマーケティングに加えてアナリティクスやさまざまな業務との連携を可能にした、Adobeならではの「エンタープライズクラウドサービス」と見て取ることができる。
Narayen氏は会見で、「デジタルトランスフォーメーションに取り組む企業には、ぜひともデジタルエクスペリエンスの重要性を認識していただきたい。そのために必要なスキルを持つ人材を育成していただきたい。それがビジネスの大きな差別化要因になっていく」と強調した。デジタルエクスペリエンスの重要性もさることながら、Adobeの主張は「デジタルトランスフォーメーションは顧客視点で取り組むべき」とも捉えることができる。当たり前のことではあるが、つい軽視しがちな捉え方ではないだろうか。