海外コメンタリー

ビッグデータ活用をカギにデジタル変革を実現--5つの事例に学ぶ - (page 3)

Conner Forrest (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-09-28 06:30

3.ラスベガス市

 ビッグデータは、大都市においても極めて有用だ。ラスベガス市は最近、道路の利用状況に関するデータの収集を始めた。同市の最高情報責任者(CIO)Michael Sherwood氏によれば、これには、道路を通行しているのが自動車か、歩行者か、自転車かを示す情報も含まれているという。

 これまで同市は、毎年定期的に、あるいは必要に応じて人間の手で交通量の調査を行っていた。しかし現在では、交通量調査のためのテクノロジがMotionloftから導入されたため、人間が調査を行う必要はなくなった。この技術を使用すると、継続的に交通量調査を行うことができ、道路の利用状況や、補修や改善が必要ないかといったデータをより詳しく得られる。

 また6月に発表されたプレスリリースによれば、同市は最近、歩行者や自転車の通行しやすさを改善し、歩行者の安全を向上させるためのデータの収集について、Numinaと呼ばれる企業と協力関係を結んだという。

 同市が収集する分刻みのデータは、ラスベガスの企業にも役に立つ可能性がある。Sherwood氏は、「この情報は、交通計画や安全確保以外にも利用可能だ。収集されたデータは、例えばある日のある時間帯に、ある事業用地の前をどれだけの潜在顧客が通行するかを調べるなど、経済的な目的にも利用できる」と述べている。

 Sherwood氏は、特定のビッグデータのプロジェクトを始める前に、まず小規模な事業をスタートさせ、大きな課題に適用できる可能性のあるさまざまなソリューションを試して、その結果を評価した方がよいと述べている。

4.マイアミ大学

 マイアミ大学の入学者の管理と学生生活を担当するシニアバイスプレジデントMichael Kabbaz氏によれば、多くの高等教育機関は、取得までに4年かかる高価な学位の価値を証明しなければならないという強い圧力にさらされており、そういった教育機関で働く者に対する期待はますます高まっている。

 しかし、その圧力を大きく軽減するために、ビッグデータが一役買っているという。そして、マイアミ大学などの教育機関は、多くのデータを収集している。

 Kabbaz氏は、「現在の高等教育機関は、高校で募集する学生の分布から始まり、どうすれば予測的アナリティクスを使って学生のキャンパス生活や、卒業、それ以降の人生をサポートできるかまで、学生のライフサイクルに関する、ほとんどあらゆることを検討している」と述べている。

 マイアミ大学は、予測的アナリティクスの助けを借りて、分断していた各部門の壁を破り、学生たちに対する理解を深めた。Kabbaz氏は、学生と直接接触するオフィスのバックオフィス情報を組み合わせることで、学生のライフサイクルの全体像が明確になってきたと述べている。

 同氏は、「予測的アナリティクスを使えば、経済的な苦境に陥っている学生を特定したり、特定の領域の成績が落ちた学生や、卒業に必要な単位を落としそうな学生の状況を追跡したりすることができる」と述べている。「この情報を活用することで、学生に対してよりよい支援を、より早く、学生が退学してしまう前に提供できる」

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