IBMの新分析専用機「Integrated Analytics System」--フォトスライド - 13/26

大河原克行

2017-09-27 07:30

 日本IBMは、アナリティクスアプライアンスの新製品として、「Integrated Analytics System」を発表した。同製品の発表は世界に先駆けて日本が最初になった。

 データサイエンスに必要な一連のツールとコラボレーティブなワークスペースを提供する「IBM Data Science Experience」と、オープンソースフレームワーク「Apache Spark」、そして、データベース製品である「Db2 Warehouse」を中核とし、それぞれがシンプルな管理環境で連携できるように、すべてが最適化されているのが特徴だ。

 また、IBMの共通SQLエンジン(Common SQL Engine)に基づいて、ワークロードをパブリッククラウドにオフロードしたり、機械学習によって分析したりといったことが可能であるほか、ビジネスサイクルの自動化ができるとした。

 Common SQL Engineでは、ホスティングされたデータベースやフルマネージドのクラウドデータベースの双方で利用されているため、ユーザーは、Db2 Warehouse on CloudやHortonworks Data Platformなど、複数のデータストアに渡って、データ移動や照会が可能になる。

 「Oracle Databaseとは99.8%の互換性があり、簡単にアプリやデータ、システムを移行できる。Oracleユーザーに対して、新たな提案ができ、クラウドへの移行も提案できる」(米IBM IBMハイブリッド・クラウドアナリティクス・プラットフォーム担当のロブ・トーマスゼネラル・マネージャー)とした。

 さらに、IBM Data Science ExperienceとApache Sparkが1つのきょう体に組み込まれていることから、インメモリでのデータ処理の実現や、分析する際に、データを移動させることがなく、データを保存している場所で、そのまま分析できる。これにより、結果を返すためのプロセスと待ち時間を削減。予測モデルのトレーニングと評価のプロセス、テスト、展開、トレーニングが大幅に簡素化できるとしている。

 さらに、「データに対して、直接アクセスし、データサイエンスを行うことが可能であり、きょう体内で完結するアナリティクス環境を実現できるのがIntegrated Analytics System。いち早く、信頼できるアナリティクスを導き出すために最適化したシステムとなっている。組織にはアナリティクスが必要であるが、エググティブの判断や意思決定において、ITが足かせになってしまってはいけない。IBMが目指しているのは、データサイエンスを簡素化し、高速化し、すべての企業が使えるようにすることである。これによって、競争優位性を企業に提供することが可能になる」などと述べた。

 また、「データを活用し、分析するには、データの格納に制約がなく、最適な性能やコストを持ったところに格納できること、正しいタイミングで正しい洞察を得ることが大切である。IBMは、機械学習による高度なアナリティクス、HTAPおよびBLUアクセラレーションによるアナリティクスの高速化、一度の書き込みで利用できるといったように、一連の機能を提供している。これは、他のベンダーが提供できないテクノロジーである」とする。

 単一コンソールから管理が可能であり、スケールアウトの際にはシステム停止を行わずに拡張できる点も強調した。

 Integrated Analytics Systemは、Powerアーキテクチャを採用し、少ないノードで高いパフォーマンスを実現。マルチコアとSIMD並列化によるCPUアクセラレーションを行うことが可能であり、信頼性と可用性を高めている。「1Tバイトのワークロードを実行する際に、従来のアプライアンス製品に比べて5倍の高速化を達成している」とした。また、フラッシュストレージは、99.999%の信頼性を実現するとともに、高い運用効率を達成しているという。

 IBM Power 8 S822L 24コア・サーバ 3.02GHzを搭載しているほか、IBM Flash System 900、Mellanox 10G Ethernetスイッチ、Brocade SANスイッチを搭載。3サーバ、72コア、1.5Tバイトのメモリ、64Tバイトのユーザー容量(4倍圧縮時)を持つ1/3ラックから、28サーバ、672コア、14TBのメモリ、768Tバイトのユーザー容量(4倍圧縮時)を持つ4ラックモデルまで、5モデルを用意。低消費電力での可能も可能だ。「スケールアウトでの拡張が可能な階層型ストレージを搭載し、すべての企業規模に対応できるようにしている。機械学習やクラウドへの移行という点で、これまでIBM Netezza データウェアハウス・アプライアンスを活用していたユーザーが拡張や置き換えといった用途で活用できるだろう」などとした。

 最小構成価格は100万米ドルからとなっている。

 日本市場で最初に製品を発表したことに対しては、「機械学習などの新たな技術を採用することに対して、緩やかであり、一部には遅れをとっている。だが、新たな技術をレバレッジする時期にいよいよ入ってきた。日本は重要な市場であり、アナリティクスに対するニーズを満たし、日本の企業の競争力を高めるためには意味がある」とした。

 日本IBM 執行役員 IBMクラウドSW&アナリティクス事業部の三浦美穂事業部長は「IBMでは、データこそが最も価値である資源と認識しており、これをどう蓄積し、どう活用するかといったソリューションを提供している。IBMでは、Hybrid Data Managementにおいて、Common SQL Engineを提供しており、これにより、あらゆるデータソースにアクセスできるようになる」と指摘。

 「今回の製品は、Db2のリブランディング、IBMとHortonworksとのパートナーシップに続く、データに関する大きな発表になる。ビッグデータの高速処理や機械学習基盤として最適化されたアナリティクスアプライアンスであり、あらゆるデータをシンプルに使いやすい環境を提供する」と位置づけた。

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