Dell EMCは9月22日、同社のSoftware-Defined Storage(SDS)ソフトウェア「ScaleIO」の現状を説明し、SDSの普及が進んでいることを強調した。

EMCジャパン ソフトウェア デファインド ストレージ事業担当ディレクターの林孝浩氏
EMCジャパンのソフトウェア デファインド ストレージ事業担当ディレクターの林孝浩氏は、「SDSに対する市場の関心が急速に高まりつつあるのを感じている」と話す。一方で「なぜ、このタイミングでSDSなのか」という点に関しては、「技術的な完成度/成熟度という観点では、1年までも十分なレベルに達していた」とし、SDS自体の進化が理由ではないと考えているという。
むしろ、運用管理が容易な事前構成済みシステムとして注目されたハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)が内部ストレージとしてSDSを活用していることが知られるようになったことで、SDSに対する漠然とした不安が解消されたことが、ユーザー企業のSDSへの関心を高めることにつながっているのではないかという。

EMCジャパン ソフトウェア デファインド ストレージ事業 シニア システム エンジニアの中村雅史氏
次いで、EMCジャパンのソフトウェア デファインド ストレージ事業 シニア システム エンジニアの中村雅史氏が、具体的なSDS製品としてScaleIOを説明した。
EMCジャパンでは具体的なSDS製品に「ブロック形」「ファイル型」「オブジェクト型」「ストリーム型」など、さまざまな技術に基づく製品群をラインアップし、用途に応じて適切な選択ができるようにしている。ScaleIOはブロックストレージ型で、従来のSANの置き換えとして利用可能な製品だ。端的には「ソフトウェアによるサーバベースSAN」と説明されており、標準的なIAサーバに内蔵されたHDDやSSD、NVMeといったストレージデバイスがネットワークを介して接続され、仮想的なプールにまとめられる。
運用管理が容易で容量の増減が柔軟にできる点はSDS共通の特徴だが、スケーラビリティが高く、容量の増加と足並みをそろえてIOPSが向上する点や、SANとして使われるに足る高速な応答性能などが独自の特徴となってくる。
林氏は、5月に米国ラスベガスで開催された「Dell EMC World 2017」でCitiグループが行った事例講演の内容を紹介する形でSDSが既に本番環境で活用されていることを強調した。しかも、5月に発表された時点では16PB程度だった容量は現在では80PBを越えているなど、SDSの特性を生かした急速な規模拡大が現在も着々と進行しているというアップデート情報も紹介した。
このように、SDSは既にコンセプト段階から実用段階に入っている。データ量の爆発的な増加に合わせてストレージを拡張していくためには、従来のような運用管理の負担の大きなアーキテクチャのストレージシステムでは対応は困難であることから、ビッグデータやIoT、SNSなどの非構造化データといった、成長ペースの速いデータを扱うストレージは今後IAサーバベースのSDSの導入を検討せざるを得ない状況になってきたと言ってよさそうだ。