Oracleが、自律型の「Oracle Database」を準備していることを明らかにしている。この製品はクラウドサービスとして提供され、管理の手間とコストを減らせるのが特徴だという。
Oracleの最高技術責任者(CTO)Larry Ellison氏は、2018会計年度第1四半期決算発表のカンファレンスコールで、 2017年中に次世代データベースをリリースする予定であり、この製品は完全自律型のものになると発言した。この製品に関する詳細は、米国時間10月1日に開幕する「OpenWorld」カンファレンスで発表される予定だ。
Oracleは、機械学習を使って管理とデータベースのチューニングを自動化するという。
「わが社はこのOracle Databaseのために、システムの可用性99.995%を保証するSLA(サービス品質保証契約)を策定中だ。99.995%の可用性とは、計画的なものと計画されていないものの両方を含めて、年間のダウンタイムが30分未満であることを意味する」とEllison氏は述べている。「この水準の信頼性を達成するためには、システムの稼働中に自動的にチューニング、パッチの適用、アップグレードを行う必要がある。AWSにはこのいずれもできない」
自律型Oracle Databaseの主な標的はAmazon Web Services(AWS)だ。AWSは、「Redshift」などの各種データベースサービスで、Oracleの中核事業であるデータベース事業と多くの市場でぶつかっている。Oracleはデータベースやアプリケーションの顧客をクラウドに移行させており、不足している技術を補うために、NetSuiteなどの企業の買収を進めてきた。
しかしEllison氏によれば、これらの企業買収で得られた勢いは失われつつあるという。同氏は、これ以上は本当に買収する必要があるクラウド企業はないとまで述べている。これはOracleの今後の成長が、イノベーションにかかっていることを意味している。こうした背景を考えれば、自律型データベースはオラクルの戦略にとって重要な存在だ。「データベースや『Fusion』アプリケーションスイートなど、わが社の成功を左右する技術の大半は、すべて社内で組織的に開発されたものだ」とEllison氏は言う。
同氏によれば、この自律型データベースはクラウド市場でAWSと真っ向から競争することになるが、管理コストの削減を考えれば有利だという。