人工知能(AI)開発ベンチャーのPreferred Networks(PFN)が民間企業の計算環境としては国内最大級のスーパーコンピュータを稼働させた。NTTコミュニケーションズ(NTT Com)グループが提供するマルチノード型高速演算処理(GPU)プラットフォームを採用した形だが、この動きには日本を代表する関係企業による“国産AI基盤”実現へ向けた野望があるようだ。
民間企業の計算環境で国内最大級のスパコンが稼働
PFNが稼働させたスパコンは、計算ノードにNVIDIA製「Tesla P100」GPUを1024個搭載。理論上のピーク性能は4.7ペタFLOPS(1秒当たり浮動小数点演算性能)に達するという。
PFNがこれだけの性能を持つスパコンを採用したのは、深層学習の研究開発や関連技術の迅速な実用化のため、高性能なGPUによる計算環境が必要だったからだ。
そこで、GPUサーバにおける技術力や実績、データセンター構築ノウハウを持つNTT Comグループのマルチノード型GPUプラットフォームを採用し、PFN独自の並列分散学習技術「ChainerMN」を活用するための大規模なマルチノードの深層学習用研究開発基盤を構築したとしている。(図参照)
図:Preferred Networksが稼働させたスーパーコンピュータ環境
(出典:NTTコミュニケーションズによる共同発表資料)
なお、NTT ComグループがPFNに提供するプラットフォームは、データセンターサービス「Nexcenter」やクラウドサービス「Enterprise Cloud」の構築実績を生かしたプライベートクラウドベースのスパコンだが、将来的にはこの仕組みをクラウドサービスとして広げていく可能性もありそうだ。
このニュースの詳細については関連記事をご覧いただくとして、ここではこの動きが何を意味しているのか、について掘り下げてみたい。