海外コメンタリー

ビッグデータ活用によるデジタル変革で陥りやすい7つの落とし穴 - (page 3)

Alison DeNisco (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-10-11 06:30

5.データの棚卸しができていない

 Laney氏によれば、多くの企業は情報を資産として管理したいと話すという。しかしそれらの企業はデータを資産台帳に載せているわけではないため、実際にどんな情報があるのかを知らない。同氏は、「それらの企業はデータの価値を評価していないため、どんな情報を持っているかを知っていたとしても、その潜在的な経済価値を把握していないことが多い」と述べている。(Gartnerは、10種類ほどのデータの品質を測り、バランスシート上の資産と同じように情報を定量化するためのモデルを公開している)

 Laney氏は、あるエネルギー企業とデータ戦略について取り組んでいた際、その企業は変電装置や発電装置などの「主要な資産」しか管理していないと言われたことがあるという。そのミーティングが終わってトイレに行った同氏は、すべての小便器に資産タグが付けられているのに気づいた。「これは『主要な資産しか管理していない』と話した企業の話だ。トイレの便器は資産に含めるのに、情報は資産に含めていない」と同氏は言う。「このようなおかしな話はよく見かける。多くの企業はノートPCは管理しているが、ノートPC上のデータは管理していない」

 Laney氏は、「企業が『情報を資産として管理したい』と言ってきたら、最初の仕事は、ほかの資産と同じやり方で情報を棚卸しすることだ」と述べている。

6.オーナーシップの集中管理

 Laney氏によれば、多くの企業は、日常的なガバナンス手順の一環として、データにオーナーを設定する。同氏は、情報資産の説明責任や管理責任は重要だが、オーナーを1人だけ設定することは、ビジネスにおける「情報の囲い込み」につながる可能性があると述べている。

 「われわれは、『管理人』というような用語を使う方がよいと思っている」とLaney氏は言う。

 もう1つの落とし穴は、IT部門だけがデータの所有権を持つことだ。「データと使われている技術が密接に結びついていた数十年前とは違って、現在では、アーキテクチャの観点からはデータと技術は分離している」と同氏は述べている。「組織の観点から見ても、それらは分離されているべきだ」

7.将来を見越した計画を立てていない

 ビッグデータ技術は非常に早いペースで変わっている。多くの企業は1年前のベストプラクティスに基づいてアーキテクチャを選び、1年かけてそれを実装するが、「使えるようになった頃には、その技術は2年も時代遅れになっている。デジタル化の進展スピードを考えれば、技術の寿命がきてもおかしくない」とHopkins氏は言う。「技術を購入しようとする企業に、デジタル化や知見の獲得にどう投資すべきかについて話をするとき、私は『投資すべきなのは、自分がデジタル時代のスピードで対応できるものだけだ』と言っている」(Hopkins氏)

 費用対効果が高いという理由で特定のアーキテクチャに固執して使い続けていれば、技術の変化についていくことはできない、とHopkins氏は言う。「やりたいことが見つかったり、新たな製品や市場に取り組もうとしたとき、状況に適応して変化についていけるように、構築するアーキテクチャは非常に柔軟なものであるべきだ」と同氏は付け加えている。

 Hopkins氏はこの理由から、今後5年間で、オンプレミスのデータソリューションよりも、パブリッククラウドのビッグデータソリューションが優勢になると予想している。同氏は「今はコスト削減のためにクラウドに移行しているが、今後はイノベーションの速さについていくことが目的になるだろう」と述べ、今後人工知能(AI)や機械学習、量子コンピューティングにおける進歩が、クラウド上に保存されているビッグデータにも影響を与えるようになると付け加えている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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