情報処理推進機構(IPA)は9月28日、Windowsアプリケーションの利用に関する注意喚起を発表した。脆弱性の報告が急増しており、ユーザーに自衛策の実施をうながしている。
IPAによると、4月~8月末に「DLL読み込み」と呼ばれる脆弱性が53件公表された。1月~3月は4件だった。サイバー攻撃者などによる脆弱性の悪用は困難で、実際に悪用されたケースは確認されていないが、影響が広範囲に及ぶ可能性があるとして注意喚起に踏み切った。
「DLL読み込み」のイメージ(IPA資料)
この脆弱性は、Windows OSがアプリケーションと同じフォルダに格納されているDLLファイルを優先的に読み込む動作を利用するもので、細工されたDLLによって任意のコードを実行される恐れがある。ただし脆弱性を悪用するには、アプリケーションとDLLファイルが同一フォルダに格納され、実行時にDLLファイルを読み込む仕様であることが条件になる。
これまでに脆弱性が公表されたアプリケーションは、企業や行政機関などが一般に配布しているものなどが中心であるものの、IPAは氷山の一角に過ぎないと指摘。アプリケーションの開発/提供元の対策状況をユーザーが確認するのは困難だとしている。
IPAは、ユーザーが注意すべき対象のアプリケーションに、インストーラや自己解凍書庫、ポータブルアプリケーションを挙げる。ダウンロードするアプリケーションは新規に作成したフォルダに保存すること、また、フォルダ内でファイル構成などを確認して不審なファイルを削除する対策を推奨している。