インターネットのDNS(Domain Name System)最上位のルートゾーンを管理する米ICANNは9月27日、ルートゾーンでのDNS SECurity extensions(DNSSEC)に必要な署名鍵を交換する作業を延期すると発表した。相当数のネットワークサービス事業者が対応できず、インターネットに多大な影響が及ぶ恐れがあるという。
この作業は「KSKロールオーバー」と呼ばれ、7月1日から段階的に実施されている。今回延期されたのは10月11日に予定された作業で、再実施は少なくとも2018年第1四半期になる見通し。ただし、懸念される影響が払しょくされることが条件になる。
KSKロールオーバーをめぐっては当初、9月19日にDNSでの正常な名前解決ができずインターネット接続ができなくなるなどの影響が懸念され、総務省が注意喚起していた。
ICANNによると、最近の調査から多数のインターネットサービスプロバイダーやネットワークオペレーターがKSKロールオーバーに対応できていない実態が判明した。プレジデント兼最高経営責任者(CEO)のGern Marby氏は、DNSのセキュリティや安定性が最も重要であり、エンドユーザーへの悪影響を考慮して10月11日の作業の延期を決めたと説明した。
Marby氏は、この延期によってネットワーク事業者側の確実な対応準備が必須との見方を示し、対応状況に応じて再実施のスケジュールを検討していくという。
予定されていたKSKロールオーバーのスケジュール(出典:ICANN)