住友電気工業は、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)を活用したネットワーク基盤を導入した。本社や営業所、データセンターなどの拠点間をつなぐ広域網(WAN)回線を制御する。NECが9月22日に発表した。
住友電工は、今後予想されるデータ量の飛躍的な増大に対応するため、WAN回線の帯域拡大と信頼性向上が課題となっていた。従来は、通信速度や品質が保証されているギャランティ型の回線を中心に、用途ごとのIPネットワークを用いてきたが、コスト負担の抑制と回線帯域の確保の両立が困難だった。
さらに、800台を超える仮想マシンでプライベートクラウドを運用しており、こちらの信頼性向上とコスト低減のためにも、事業継続/災害対策(BC/DR)システムの改善が必要となっていた。
新たなネットワーク基盤は、SDNに対応したスイッチ「UNIVERGE PF」シリーズとアクセスルータ「UNIVERGE IX」シリーズを組み合わせ、ソフトウェア定義WAN(SD-WAN)環境を構築。基幹業務や音声、テレビ会議などのさまざまなシステムの通信量や重要性に応じてネットワークを制御することで、WAN回線の信頼性を向上しながら、帯域拡大とコスト低減を可能にする。
グループ会社では、WAN回線の総コストを約10%削減するとともに、WAN回線の利用可能な総帯域を2倍以上に拡大できたとしている。
ネットワーク全体をGUIで可視化し、優先度に応じて経路を制御したり、設定を変更したりできる。数十拠点に設置したWANルータの集中管理、ネットワークリソースの動的な割り当てや定期的な見直しなどが可能になる。
データセンター間をSDNも用いてレイヤ2(L2)で接続することで、障害発生などによってバックアップサイトを稼働する場合でも、サーバのIPアドレスが変更不要となり、システムを迅速に切り替えられる。BC/DRシステムに関連するコストや作業工数を削減し、バックアップサイトの立ち上げ、切り替え時の人為的ミスによるリスクを低減する。