アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国は、2020年までにブロックチェーンを活用した政府を世界で初めて実現する計画を、2016年10月に発表している。
ドバイは先進的なテクノロジインフラを有する世界有数の地だ。
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この構想は、世界のビジネスハブたらんとするドバイの野心の1つであり、その実現には次世代テクノロジが重要な役割を果たすことになる。
ブロックチェーンに関するイニシアティブのほとんどはまだ初期段階にあるものの、Gartnerの「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2017」(新興技術ハイプサイクル2017年版)では、「長期的に見れば(中略)このテクノロジは業界全体の改革につながる」と予測されている。
こうした楽観的な見通しは、ドバイにおけるさまざまな企業や政府機関、起業家の間に広まっている。
Dubai Museum of the Future Foundation(ドバイ未来博物館基金)は2016年に、政府機関や国際的な企業などの30を超える組織からなるGlobal Blockchain Council(世界ブロックチェーン協議会)を立ち上げている。
同協議会のメンバーらはその後、医療記録や出荷データに始まり、会社登記や、ブロックチェーンテクノロジを活用して紛争ダイヤモンドの拡散に歯止めをかけるという取り組みに至るまでを網羅した、さまざまな概念実証プロジェクトを発表している。
スマートでセキュアな政府
Oracleのクラウドコンピューティング担当シニアディレクターであるAhmed Adly氏は、ブロックチェーンの主な採用理由として、データのセキュリティを強化でき、業務上の意思決定を最適化できる点を挙げている。
同氏は米ZDNetに対して、「ブロックチェーンによってデータのセキュリティを強化することで、詐欺対策やコンプライアンス、財務報告にまつわるコストを削減できる。また、銀行業務や医療記録、所有記録、請求書、機密情報を含むその他の資産に対してさらなるレベルのセキュリティを追加できる」と語っている。
同氏によると、ブロックチェーンは膨大な数のデバイスが接続されたネットワーク上でデータの共有や複製、更新を実現するためのフレームワークであり、分散台帳技術の根幹を成すものだという。
「ブロックチェーンは複数の組織をまたがってデータのセキュリティや可視性、追跡性、改ざん防止性を維持するとともに、リアルタイムのトランザクション処理を可能にする」(Adly氏)
セキュリティ関連以外にも、このプラットフォームにはスピードやさまざまな効率が向上するというメリットが考えられる。