ブロックチェーンの導入を阻む課題
しかし急速な台頭によって課題も浮き彫りにされてきている。Adly氏によると、同地域は最近になってブロックチェーンを採用したばかりであるため、このテクノロジが持つ機能すべてをサポートできるだけのインフラが整備されていないという。
同氏は「IoTや金融トランザクションを扱うアプリケーションは、現在のインフラでは完全に満足させることができないスピードでのトランザクション処理を必要としている」と述べている。
また、ブロックチェーン自身もスケーラビリティやプライバシー、機密性という点でさらに進歩していく必要もある。
同氏は「われわれは、企業でのブロックチェーンの採用を加速させるために、これら課題の解決に向けて取り組んでいるところだ」と述べている。
一方Alsehli氏は、ドバイが先進的なテクノロジインフラを有する世界有数の地であるため、同社にとってそれほどの懸念にはならないと考えている。同氏は、「インフラという観点から見た場合、中東・北アフリカ(MENA)地域の企業だからと言って、現在のブロックチェーン向けインフラと大きく異なるものが要求されるわけではない」と述べている。
Alsehli氏の観点から見た喫緊の課題は、ブロックチェーン自体が採用の初期段階にあり、技術的なスキルが欠けている点にあるのだという。
同氏は「こういった知識の獲得に時間がかかるのは間違いなく、そのためには同テクノロジに関して試行錯誤を重ねる必要がある」と述べている。
採用を推進していく
ブロックチェーンを成功させるうえで、さまざまな業界による採用が必要不可欠となっている。
Adly氏は、「民間企業と公的機関が力を合わせてブロックチェーンを当たり前の存在にしていく必要がある」と述べている。
またAlsehli氏も、民間企業と公的機関の双方に対して、「同テクノロジの応用によってメリットを引き出せるサービスを優先順位付け」するよう促している。
Adly氏は、この種の協力が成功をもたらす可能性が高い理由が、「ブロックチェーンによってトランザクションと、サプライチェーン管理、製造が効率化される仕組み」にあることを示唆し、「その分散ネットワークによって、官民をまたがるリアルタイムでのトランザクションが可能になる」と述べている。