クラウド専用SIベンダーに必要な6個の条件
米Appirioはパブリッククラウド専門のSIベンダーであるため、パブリッククラウドを用いたシステム構築においては、他の一般的なSIベンダーよりも優れている。Conant氏は、米Appirioの特徴を6点挙げる。個々のポイントは他のSIベンダーにも当てはまるが、6点すべてを兼ねるのは米Appirioだけだという。
ポイントの1つめは、WXとCXのバーチャスサイクルを意識している点である。WX無くしてCXは実現できないためである。
ポイントの2つめは、戦略立案のコンサルティングからUI/UXのデザイン、システム構築、定着の支援まで、すべてを1社でカバーできることである。
ポイントの3つめは、業界別や業種別の視点を持っていることである。米Appirio社内にあるイノベーションチームが、各業界の課題を深く分析し、ソリューションを考案している。
ポイントの4つめは、クラウド型のERPスイートを自前で持っていることである。ERPの機能を欲するユーザーにこれを提供できる。
ポイントの5つめは、企業情報システムの構築に関する専門知識を持っている点である。ITサービス企業であるインドのWiproの傘下に入っており、パブリッククラウドを使っていない基幹システムとの統合も図れる。
ポイントの6つめは、クラウド技術に12年間フォーカスしている点である。「Force.com上の開発プロジェクトがあると、米Salesforce.comから米Appirioに声がかかる。どのクラウドサービス事業者から見ても上位5社のSIパートナーに入っている」(Conant氏)
日本でのブランド認知度を高めたい
日本法人のアピリオが2008年に設立されてから、11月で9年になる。日本市場に進出したきっかけは、米Salesforce.comから「日本でサービスを提供してほしい」と頼まれたことだった。
日本法人には現在、40人のコンサルタントが所属。開発パートナーはインドのJaipurに350人の開発者がいて、このうち10人ほどが日本専任である。
日本の直近の売上は好調という。2017年4〜6月の売上は、前年(2016年4〜6月)の売上の2倍になった。しかし、「ブランドの認知と知名度がまだまだ低いので、改善していきたい」(渡邉氏)という。

米Appirio CMO(最高マーケティング責任者)のLatane Conant(ラタニー・コナント)氏(写真右)と、アピリオ代表取締役社長兼米Appirio副社長の渡邉崇氏(写真左)