AIの活用やユーザー体験の改善が進むSalesforceサービス群
講演の中盤では、セールスフォース・ドットコムの前川友美氏がSalesforceの直近の製品動向を説明した。企業システムの世界で起こっている5つの変革、(1)インテリジェンス、(2)スピード、(3)生産性、(4)モバイル化、(5)つながり、のそれぞれに応える製品を提供しているという。「5つの変革が、顧客との関係を深めるカギになる」(前川氏)
インテリジェンスによって、自動走行やロボットによる顧客対応などが可能になる。米Salesforce.comも、顧客データと人工知能(AI)技術を活用し、CRMのためのAIとしてSalesforce Einsteinを開発した。Salesforce Einsteinの30種類を超える機能がSalesforceのサービス群に組み込まれている。
アプリケーションを開発するスピードを高めることも重要である。米Salesforce.comは、高速開発ツールのLightningを提供している。AppExchangeに公開されている3000以上の部品を組み合わせて素早くユーザーインタフェースを構築できる。アプリケーション開発基盤としては、EC(電子商取引)プラットフォームのSalesforce Commerce Cloudも用意している。月間3億5000万人以上が利用している。
社員の生産性を高めることも重要である。米Salesforce.comが提供しているQuipと呼ぶ情報管理サービスを使えば、散在する情報を1つにまとめることができるという。「Quipはチーム作業に変革をもたらす」(前川氏)
情報システムにアクセスする入り口としてモバイル端末が普及している状況に合わせて、米Salesforce.comは、Salesforce1と呼ぶモバイル用のアプリケーションを提供している。モバイル端末への導入率が高いという。
IoT(Internet of Things)時代においては、つながりを実現することも重要な変革である。米Salesforce.comは、顧客情報をリアルタイムに捉えるためのサービスとして、Thunder IoT Cloudを提供している。
内閣官房と組んでマイナポータルを手伝う
Block氏は、国内での直近の取り組みの例として、内閣官房とのパートナシップを紹介した。政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」の立ち上げを手伝っているという。
マイナポータルは、子育てに関する行政手続きがワンストップでできたり、行政からのお知らせが自動的に届いたりする。民間企業とも連携し、民間企業から情報を得ることもできる。
徐々にサービスを開始している。地方公共団体の申請サービスをスマートフォンで横断的に調べられる「ぴったりサービス」も開始した。地域を郵便番号で選び、妊娠出産や子育て、引越し・住まいなどカテゴリ別にサービスを探したり、キーワード検索によってサービスを探すことができる。
「これまでの役所は国民から遠かった。面倒くさいイメージがあった。スマホの活用などによって、できるだけ身近な行政を実現したい」(内閣官房内閣審議官の向井治紀氏)