ミズノがグローバルECサイトにSalesforceを活用
講演の後半では、国内のユーザー企業による事例として、スポーツ用品メーカーであるミズノと、金属加工機械メーカーであるアマダを紹介した。ミズノはSalesforce Commerce CloudなどでグローバルのECサイトを構築。アマダはSalesforce Pardotでマーケティングの自動化に取り組んだ。
ミズノの事例紹介には、ミズノ代表取締役社長の水野明人氏が登場。セールスフォース・ドットコムの田崎純一郎氏が事例を解説した。
ミズノは2017年秋、Salesforce Commerce Cloudを採用してタイ向けのECサイトをリリースした。順次、タイ以外のグローバル地域にも展開する。このほかに、Salesforce Marketing Cloud、Salesforce Sales Cloud、Salesforce Service Cloudも導入済みである。
「Salesforce Commerce CloudとSalesforce Marketing Cloudが連動することで、ビジネスのチャンスを逃さないことが可能になる」と田崎氏は言う。例えば、Salesforce Marketing Cloudで設計したカスタマージャーニーと連携すれば、買い物かごに入れたのにお金がないから離脱した顧客のフォローができる。24時間後にLINEにレコメンデーションのメッセージを出すなどの施策がとれる。
AIを用いた画像認識機能である「Einstein Vision for Social Studio」をマーケティングに活用するデモも見せた。Salesforce Marketing Cloudの画面上で、SNSでつぶやかれている製品情報からミズノとスパイクというキーワードに合致するつぶやきを抽出して可視化した。Einstein Vision for Social Studioにより、ミズノのスパイク画像を認識している。
アマダがマーケティング自動化のPardotを活用
アマダの事例紹介には、アマダホールディングス代表取締役社長の磯部任氏が登場。セールスフォース・ドットコムの秋津望歩氏が事例を解説した。
アマダは金属加工機械を顧客に直販しており、顧客の声を直接聞きながら事業を営んでいる。営業支援のSalesforce Sales Cloudを使っており、Salesforce Einsteinの機能を用いて売上の予測も立てている。さらに、営業担当者に渡す見込み客の獲得にマーケティング自動化サービスのSalesforce Pardotを活用している。
Salesforce Pardotは、B2B(企業間)取引を対象としたマーケティング自動化サービスである。「日本は世界で最も速いペースでSalesforce Pardotの導入社数を伸ばしてきた」と秋津氏は言う。6月にはSalesforce Einsteinを活用したABM(アカウントベースマーケティング)機能を提供。講演当日の9月26日には日本語版もリリースした。
Salesforce PardotのEngagement Studio機能を使って、見込み客のフォローアップやナーチャリング(育成)を進めることができる。例えば、配信メールをクリックした顧客には次の施策を打ち、未開封の顧客には別の施策を打つなど、反応に合わせてマーケティング活動を最適化できる。
ナーチャリングした見込み客は、Salesforce Einsteinによってスコアリングされている。「どの顧客から優先的にフォローすべきかをEinsteinが教えてくれる。見込みが高い客であれば、すぐにでも個別に営業がアプローチできる」(秋津氏)
アマダの顧客は、ポータルを介して、顧客自身の機械の状況を確認できる。消耗品の購入もできる。予防保守の観点でメッセージも受け取れる。Salesforce Einsteinの画像認識機能を用いてレーザー切断機の切断面の画像を判定し、レーザー切断機のメンテナンスに生かすことができる。
「直販なので、遠くにいる顧客にもサービスを提供しなければならない。ITでサービスを効率化しないといけない。機械を止めないことも重要だ」(アマダホールディングス代表取締役社長の磯部任氏)