10月6~8日に開催されたFormula 1(F1)の日本グランプリでSD-WANやNFVが活用された。英ロンドン郊外のウォーキングにあるMcLaren-Hondaのテクノロジセンターと鈴鹿サーキットを結ぶ「トラックサイドネットワーク」にNTTコミュニケーションズ(NTT Com)のSDx(Software Defined Everything)を導入した。
現在のF1は、レース会場の気象情報やレース車両に搭載した200個以上のセンサやカメラが取得するエンジン回転数やブレーキ圧、燃料の残量、タイヤの空気圧、走行状態の映像などのテレメトリデータをレース中にリアルタイムで活用している。1980年代半ばにホンダが初めてテレメトリシステムを導入したが、1レースあたりのデータ量は現在、約100Gバイトにもなるという。
テレメトリデータは、現場のエンジニアが詰めているピットガレージと、レース戦略を考え現場に指示を出すストラテジストが集まる本社の技術チームの間で共有され、チームのパフォーマンスを向上させるための迅速なレースマネジメントに役立てられている。
McLaren-Hondaは今回、既存のトラックサイドネットワークに加え、新たにNTT ComのSDxを活用した広帯域ネットワークを導入。鈴鹿サーキットと英国のテクノロジセンターでの大容量データ送信時の安全性や迅速性、効率性、レース中のより高度な戦略立案への貢献度などを検証した。
既存のMPLS回線と、インターネット回線などの各レース会場でチームごとに敷設可能な回線(補完回線)を柔軟に組み合わせられるため、帯域拡張と、優先順位に応じた効率的なデータ伝送を実現するという。
WANアクセラレータ機能や統合脅威管理(UTM)、ウェブプロキシ機能などをクラウド上のNFV(Network Functions Virtualization)基盤で迅速に実装。SD-WAN上の安全で迅速な通信を実現するともに、世界各地で年間20戦、週末に開催されるレース期間限定のネットワーク環境の構築と撤去の稼働を簡略化でき、時間とコストを削減するという。
NTT ComのSD-Exchangeを活用することで、鈴鹿サーキットの近隣から英のMcLaren-Honda本拠地の近くまで、NTT Comが保有するグローバルな高帯域インフラを経由するため、通常のインターネット接続時と比較し、大容量データを瞬時に伝送できるとしている。

McLaren-Hondaが活用したNTT ComのSD-WAN、NFV基盤、SD-Exchangeの概要(出典:NTT Com)