ガートナー ジャパンは10月12日、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)に関する市場動向調査の結果を発表し、RPAに対する市場の過度な期待と過剰なマーケティングから混乱が見られると指摘した。
調査は5月、ユーザー企業のIT選定に関与する担当者396人にウェブでアンケートした。RPAを「既に導入済み」と回答した企業は14.1%で、普及が進んでいない実態が判明。「導入予定/検討なし」「分からない」は60.4%で、明確な導入の意思を持ち合わせていない企業が半数以上を占めた。

国内企業のRPA導入状況、n=396、出典:ガートナー/調査:2017年5月
ガートナーは、現在のRPAの大半が成熟したテクノロジの組み合わせで構成され、テクノロジとしての革新性や先進性がほぼないと指摘。ただし、優先度やコストなどの問題からこれまでシステム化されなかった手作業の業務プロセスを低コストかつ容易に自動化できるようにした点は革新的だと解説する。
「導入済み、対象業務を拡大する」とした企業は3.8%で、一定の効果は期待されるものの、現状ではこうした実態以上に過度な期待と過剰なマーケティングメッセージから、市場では混乱がみられるとした。テクノロジや導入効果、課題、現状と将来などのRPAにまつわるさまざまな事柄に関する理解が異なることも要因として挙げている。
リサーチ&アドバイザリ部門リサーチ ディレクターの阿部恵史氏は、RPAにおける人工知能や機械学習技術の本格的な実装と利用は今後のことだとし、企業は情報収集と評価を重ねて小規模な範囲から適用し、実運用からみえてくる課題を整理すべきとアドバイスしている。