監査法人トーマツは、独自に統計的異常検知技術を開発し、特許を取得したと発表した。同技術を会計監査やリスクアドバイザリーサービスに活用する。
この技術は、Deloitte Analytics研究開発部門が開発したもので、機械学習技術を用いて、対象に含まれる要素間の関係性を数値化して追跡し、関係性の急激な変化を異常として検知する。これにより、複数要素が相関し合うような異常を検知することや、関係性の変化の要因となった要素を特定することが可能になる。
Deloitte Analyticsはデロイトがグローバルに提供するサービスの1つで、全世界で約1万3000人、国内では約300人の専門家が従事する、アナリティクスを活用したコンサルティングサービス。
同技術の利用例として、通信ネットワークの異常検知が挙げられる。通信ネットワークでは、常に変動している単一サーバの通信量のみを見てるだけでは、異常かどうかを判断することが困難な場合が多い。例えば、「サーバAの通信量が増加するとサーバBの通信量は低下する」といった場合は、安定稼働しているが、通信が循環するなどの異常が発生すると、サーバAとサーバBの通信量が同時に増加するという傾向がある。同技術では、このような変化にも対応し、異常として検知することができる。
また、同技術を会計監査に利用することで、取引関係などの経済的なやりとりを分析でき、個別の取引のみを観察した場合とは別の視点から、より高度なリスク評価が可能となる。
同社では、この技術をリスクアドバイザリーサービスに応用し、企業のさまざまなリスク管理に役立てていく。利用例としては、プラントのセンサデータを対象として異常検知を実行し、顕在化する前に障害を検知することで、早期保全による損害・コストの抑制を可能にすることなどが挙げられる。また、心臓の不整脈などの変化が現れた場合にそれを検知するといった、機械システム以外への適用も可能だという。