海外コメンタリー

IoT時代のセキュリティという難問--鍵は「人の行動」から異常を知ること - (page 2)

Eileen Yu (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2017-10-18 06:30

 同氏は、データに関するより多くのコンテキストとともに、人々の日々のアクティビティをより多く取り込むというニーズの実現に向けて業界が動きつつあると述べるとともに、Googleが「Googleマップ」で、そしてAmazonが「Amazon Prime」で実践していることを指摘した。

 例を挙げると、Mastercardは人間のやり取りを分析することで、詐欺行為を検出するための同社の能力を高めようと取り組んできている。

 Mastercardの運用および技術担当プレジデントのEd McLaughlin氏によると、NuData Securityを買収したことで、顧客のエクスペリエンスを犠牲にせずにその振る舞いを分析し、取引の正当性を判断できるようになるという。同氏は、シンガポールで現地時間9月27日から開催された「Mastercard Innovation Forum 2017」の会場で米ZDNetに対し、詐欺行為防止の名目で拒否されているトランザクションのなかには有効なものも数多くあるという現状を考えると、こういった機能拡張は特に重要だと語った。

 NuDataの主力製品である「NuDetect」は、ユーザーのオンライン上でのやり取りやモバイル機器の使われ方を評価し、詐欺行為を働く者と正当なユーザーを区別するというものだ。この製品はデバイスやロケーション、受動的なバイオメトリクス、行動の特徴を分析することで、デジタルアイデンティティを構築し、コンシューマー個人や、個々のトランザクションのリスクスコアを確立する。

 NuDataのウェブサイトによると、同社が分析するオンラインでのやり取りは2017年だけで2000億件になる見込みだという。

 McLaughlin氏は「NuDataは、何者かがユーザーになりすましていないことを確認するために、ユーザーのデバイスと、その利用方法に基づいた行動を分析するという目的に特化している」と説明し、同社のプラットフォームは分析するデータの量が多ければ多いほど、アルゴリズムによるセキュリティシステムよりも精度の高い予想をもたらせると述べた。

 アルゴリズムによるシステムの場合、生体認証やPINといったものを利用することで一定レベルの信頼を置けるようになるが、それでも悪用される可能性は残る。その一方で予測データを使用する場合、同じレベルを達成するにも、あらゆる振る舞いのパターンを個人に関連付けておく必要があるため、ずっと難しくなると同氏は述べた。

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