調査

医療機関とSNSユーザーがサイバー攻撃の標的に--McAfeeの脅威レポート

NO BUDGET

2017-10-19 06:00

 米McAfeeは、同社の脅威調査部門McAfee Labsがまとめた2017年第2四半期の脅威レポートを発表した。医療機関から最も多くのセキュリティインシデントが報告されたほか、、Facebook上で不正に「いいね」を出力するトロイの木馬「Faceliker」が主要因となるSNSでのマルウェア検知の増加を報告している。

 同社が注目すべき攻撃対象に挙げたのは、Facebookだ。第2四半期に新たに発見された5200万件のマルウェアサンプルのうち、8.9%をFacelikerが占めている。このトロイの木馬は、悪意のあるサイトや不正なウェブサイトにアクセスしたユーザーのウェブブラウザに感染し、感染ユーザーのFacebookの「いいね」機能を乗っ取る。

 これにより、ユーザーが知らないところで、勝手に特定コンテンツがプロモーションされてしまう。「いいね」の乗っ取りが大規模に行われた場合、ニュース記事、動画、ウェブサイト、広告の人気や信頼性を実際よりも高く見せることができるため、悪意を持ってFacelikerを拡散する攻撃者は金を稼ぐことができる。

 また、公表されているセキュリティインシデントを同社が分析した結果、過去6四半期に北米で最も被害を受けた業界は公共機関だったが、今期は医療機関が公共機関を上回り、全セキュリティインシデントの26%を占める結果となった。医療データ侵害の原因は、その多くが事故による漏えいや人的ミスによるものだが、医療機関を狙うサイバー攻撃も増え続けている。この傾向は、世界中の数多くの病院がランサムウェア攻撃を受けた2016年第1四半期に初めて確認された。当時、一部の医療機関では大きな混乱を招き、患者の移送や手術の延期を余儀なくされる事態も発生した。

 一方、WannaCryおよびNotPetya攻撃についての分析では、これまでの同社調査をベースに、攻撃者が比較的シンプルな技法をクリエイティブに組み合わせ、脆弱性の悪用、実績のあるランサムウェア、一般的なワームの増殖などの要素を融合させた方法について詳しく洞察した。そして、どちらのランサムウェア攻撃も支払いや復号能力に欠陥があったことで、被害者からの身代金の奪取やシステムへの侵入には成功していないことも確認している。

 チーフ サイエンティストのRaj Samani氏は、「これらのランサムウェア攻撃は、金銭を奪うという意味では成功していないと言われるが、WannaCryやNotPetyaの目的が金銭ではない別のものである可能性も十分に考えられる。混乱目的なら、どちらも極めて効果があり、現在はランサムウェアの目的が金銭以外のものへと変化し、疑似ランサムウェアの時代に突入している」と解説している。

 その他の主な脅威動向は以下の通り。

特定の業界が標的に:

 2016~2017年にかけて、世界の全セキュリティインシデントの50%以上が、医療、公共、または教育機関で発生している。

 ・北米:第2四半期中、米国では医療機関から最も多くのセキュリティインシデントが報告された。

 ・アジア太平洋地域:第2四半期中、アジア太平洋地域では公共機関から最も多くのセキュリティインシデントが報告された。次いで、金融サービスやテクノロジ業界からも多くのインシデントが報告されている。

 ・欧州/中東/アフリカ:第2四半期中、欧州では公共機関から最も多くのセキュリティインシデントが報告された。次いで、エンターテイメント、医療、金融、テクノロジ業界からも多くのインシデントが報告されている。

マルウェアの総数:

 第2四半期は、5200万個の新規マルウェアサンプルが発見され、前四半期比で67%増となった。背景としては、マルウェアのインストーラーやトロイの木馬であるFacelikerの著しい増加が原因として挙げられる。マルウェアのサンプル総数は、過去1年間で23%増の約7億2300万個に達した。

ランサムウェア:

 第2四半期には新規ランサムウェアサンプル数が54%も急増するなど、再度大幅に増加した。ランサムウェアのサンプル総数は、過去1年間で47%増の1070万個だった。

モバイルマルウェア:

 モバイルマルウェア総数は、過去1年間で61%増の1840万個に達した。第2四半期のモバイルデバイス感染割合は、アジア太平洋地域が地域別トップとなる18%で、全世界のモバイルデバイス感染台数も8%増加した。

Macマルウェア:

 アドウェアの過剰供給が収束した結果、Macマルウェア数は従来の水準に戻り、第2四半期はわずか2万7000個となった。Windowsと比較すれば脅威の規模はまだ小さいものの、Macマルウェアのサンプル総数は第2四半期に約4%増加した。

マクロマルウェア:

 第2四半期に新たに発見されたマクロマルウェアの数は35%増加した。新規サンプルとして9万000個を記録し、これまでのサンプル総数は110万個に達している。

スパムキャンペーン:

 第2四半期は、「Gamut」ボットネットが再び総数第1位に浮上し、求人関連や偽医薬品の迷惑メールを拡散し続けている。最も混乱を招いたボットネットは「Necurs」で、第2四半期中に複数の株操作に関する偽スパムメールを拡散した。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]