NECは10月13日、多様なログパターンを人工知能(AI)で自動抽出・モデル化することにより統合的なログ分析ができるソフトウェア「NEC Advanced Analytics - ログパターン分析」を発表した。
新製品は、NECの北米研究所で開発した「ログパターン分析技術」を搭載。ログを形成する各要素を自動分割・種別判定し、事前定義なしでログの形式(フォーマット)や可変部の取り得る範囲といったパターンを抽出することができ、複数の装置やシステムのログをモデル化することで統合的なログの分析を実現する。さらに、ログパターンとログに含まれる変数の種類・値の範囲を学習・モデル化し、モデルとのマッチ・アンマッチを自動判定することで、これまでの勘や経験に頼った属人的なログの分析作業を軽減する。
以前のログ管理製品では、プログラムによるログ分析のためのフォーマット定義や高度なログ分析経験が必要不可欠だった。新製品はそれらを不要とし、属人性の排除と分析作業工数・負荷の削減が可能。さらに、専門家でも難しかった故障・障害の予測や早期発見の支援が可能になるとしている。
また、外部からAPIやコマンドインターフェースを介して同製品の分析技術を利用できるため、他社製品も含めて運用管理ソフトや他の分析ソフトへの組み込みが容易で、既存環境へのアドオン導入もできる。例えば、NECの統合運用管理「WebSAM」との連携により、過去の障害対応を自動でレコメンドするソリューションを実現する。

ログパターン分析を活用したソリューション例(障害対応レコメンド)
NECによれば、実証実験からシステムの障害発生時に専門家と同様の判断で、過去の類似障害を検索・通知できることが確認された。対処方法を特定するまでの時間を最大80%短縮し、システム停止によるビジネス機会損失を最小化できるとしている。また、同社のクラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」の運用に活用した結果、ログの出力件数の推移から「いつもと異なる挙動」を検知することで、数千台を超える基盤機器から出力される大量かつ多様なログの監視ルール設計や分析にかかる工数を25%削減し、監視設定の効率化を実現したという。
同社では今後、例えば、証跡ログなどから従業員の端末での作業状況を分析し、作業ミス防止や働き方の問題検知につなげるといったメンタルヘルスケアのマネージメントにも活用する。販売価格は250万円から。ログパターン分析エンジンを活用したソリューションとして今後3年間に40億円の売上を見込む。