筆者による分析
Autonomous Database Cloudは、クラウドベースのサービスだと認識しておくことは重要だ。Oracleは少なくともここ2~3年、クラウドの自動化がもたらす効率化について語ってきているが、Autonomous Database Cloudによってこれらのメリットは新たな高みにまで引き上げられるという。
MLを活用したAutonomous Database Cloudのチューニングや最適化によって新たにもたらされるメリットが、既存の「Oracle Database 12c」のデータベースサービスと比較してどれほどのものになるのかは、時とともに明らかになっていくだろう。
AWS製品との比較テストの結果について言えば、「Oracle Cloud」上でのOracle Databaseと、AWS上でのOracle Databaseを比較すれば、ホームグラウンドのOracleが勝つのは当たり前だ。というのも、Oracleは「Oracle Exadata Cloud」上でデータベースを稼働させられるのに対して、AWSはそういったことができないためだ。Oracle Exadata Cloudでは、クエリ処理がストレージ層にプッシュダウンされることで、クエリの負荷は該当クエリがデータベースエンジンに到達する前に縮小される。Exadata上のOracle Database対AWS上のRedshiftであれば、より同等の比較となるはずだ。このため筆者は、中立なテストの結果を待ち望んでいるというわけだ。
MLを活用したデータベースの自動化にメリットがあると仮定した場合(数多くあると筆者は確信している)、良いニュースがある。それは同社がさまざまな自律型データベースサービスを用意しているというものだ。こういったサービスには、2018年6月に提供が予定されている「Oracle Autonomous Database Cloud」のOLTP版や、「Oracle OpenWorld 2018」(OOW2018)までに登場する可能性が高い「Autonomous NoSQL Database Cloud」や「Graph」データベースがある。
Oracle Adaptive Intelligent Apps
「Oracle OpenWorld 2016」(OOW2016)でどちらかと言えばひっそりと発表されたAdaptive Intelligent Appsは、Oracleのクラウドアプリケーションと統合された、MLを活用したクラウドベースのアプリだ。同社は2016年の前半を費やし、必要な機械学習データのパイプラインを用意した。「Oracle Data Cloud」からの顧客固有のSaaSデータとサードパーティーの付加データを組み合わせることで、Adaptive Intelligent Appsは意思決定や成果、業績につながるような、個々の顧客に合わせたレコメンデーションを提供できるようになる。
Adaptive Intelligentエクスペリエンスの一部をなす「Next Best Offers & Recommendations」が、同日より「Oracle Customer Experience Cloud」(Oracle CX Cloud)上で利用可能になっている。また、2016年に発表されたロードマップに続き、同社はOOW2017で人的資本管理(HCM)や企業資源計画(ERP)、サプライチェーン管理(SCM)向けのAdaptive Intelligent Appsを発表したが、これら次世代スマートアプリのリリース日がいつになるかについては誰も述べていなかった。