AIに関する話題として、OracleのプレジデントであるThomas Kurian氏は、(ベアメタルおよび仮想マシン(VM)の双方での)GPUの計算能力とともに、深層学習フレームワークの「Caffe」や、ニューラルネットワークライブラリの「Keras」、MLのためのライブラリである「TensorFlow」といったオープンソースのさまざまなAIフレームワークを利用可能にするAI & ML PaaSを新たに発表した。この製品により開発者らは、さまざまな言語やフレームワークを用いて作業を実施できるようになる。
筆者による分析
OracleのBig Data Cloudは既に一般提供されている。これにより同社はAWSや「Microsoft Azure」が提供するビッグデータサービスに一歩近づいたと言える。Event Hub CloudやStream Analyticsといったサービスも今日利用可能となっていることで、「Amazon Kinesis」のポートフォリオや、Microsoft Azureの「Azure Event Hubs」や「Azure Stream Analytics」との差を埋めたと言えるはずだ。
AI & ML PaaSについてはOOW2017で発表されたものの、まだ利用可能にはなっていない(該当ページには「COMING SOON」(近々提供開始)と記されている)。筆者は、同社幹部らとの話や、プレゼンテーションで示されたロードマップ関連のさまざまなスライドから、3〜6カ月以内に一般提供が開始されると考えている。AWSと「Google Cloud Platform」、Microsoft Azureはすべて、しばらく前からGPUを利用可能にしている。モデルの開発と配備について述べると、Microsoftは9月に、エンドツーエンドのモデルライフルサイクル管理を約束する次世代の「Azure Machine Learning」ポートフォリオのプレビュー版を発表している。このため、OracleはAIクラウド関連のサービスや能力についてまだまだやるべきことを抱えていると筆者は考えている。
Oracle Analytics Cloud
Oracleは、アナリティクス分野でも市場の変化に合わせて素早く立ち回っている。同社は、数年前に発表した「Oracle BI Cloud Service」や「Oracle Data Visualization Service」を進化させ、Oracle Analytics Cloudに組み込むとともに、さまざまな機能を追加し、データの発見や準備、分析、予測を網羅する包括的なポートフォリオを作り上げようとしている。以前から「Standard Edition」と「Enterprise Edition」のサブスクリプションが利用可能だったが、同社はOOW2017において、より幅広い採用を促すために「Data Lake Edition」を発表した。
OracleはOOW2017で、Oracle Analytics Cloudに対するMLや自然言語処理に関する一連の拡張についても発表した。これらは3〜6カ月以内に利用可能になるという。「Automated Data Diagnostics」は隠れた要因を浮き彫りにして、ユーザーが気付いていない可能性のあるデータや分析に向けてユーザーを導く「Explain」(説明する)能力だ。また「Natural Language Insights」はチャート上で突出した部分について分析し、人間が読める文章にすることで、その部分に着目しやすくしてくれる。そして「Ask」(質問処理)能力が機能強化された「Natural Language Query」は、同義語や略語をサポートし、ユーザーのタイプ入力時にクエリを動的に修正したり再解釈できる。Oracleは、メタデータやソーシャルタグをまたがる検索やナビゲーションだけでなく、発見を促すために関連の深いデータセットや適切なデータセット上でのレコメンデーションを自動化するなどの、「Enhanced Data Catalog」(拡張データカタログ)機能にも取り組んでいる。