「私の場合は、予算部門と協力して、予算が増える可能性にはどんなことが考えられるかを特定して、それを正当化できるかを検討し、技術を導入した結果、部門単位または市全体でのどの程度の経費削減が予想されるかを明らかにしておくことが重要だ」(Coakley氏)
Coakley氏は、デジタル化を推進しようとしているほかの組織に対して、テクノロジの導入を考えるなら、通信帯域を増やす必要があるかどうかを検討することを勧めている。遅延を最小限にとどめるには、ネットワーク資源を追加で調達する必要があるかもしれない。「もちろんそれには費用が必要であり、通常それらはIT部門の予算に振り分けられる」とCoakley氏は述べている。
2.プロアイスホッケーチーム:コミュニケーションの透明性
ナショナルホッケーリーグ(NHL)のDallas Starsはデジタル変革の取り組みを始めており、その取り組みは営業チームから始められた。Dallas StarsのCIO兼事業運営担当バイスプレジデントDan Doggendorf氏は、可視性とマネジメントを改善するため、コールセンターをFuseのクラウドコミュニケーションプラットフォームに移行したことについて説明してくれた。
以前は、コールセンター業務が適切に行われているかどうかは、従業員の自主性に任せられていたという。現在では、正確なデータを表示する巨大なスクリーンが設置され、説明責任を果たせるようになり、どの電話番号に対してどのような電話が行われているかや、通話の頻度や方向も分かるようになった。
このシステムの料金は、選択したプランによって、ユーザー数に応じた月額課金になっている。Doggendorf氏によれば、料金プランには3種類あり、Dallas Starsではユーザー層に応じてすべてのプランを使い分けているという。
「運用費は確かに増えた」とDoggendorf氏は言う。「しかし、われわれの元のシステムは文字通り90年代のもので、まったく経費がかかっていなかったため、どう更新するとしても、何らかの形で経費は増えざるを得なかった」
クラウドベースのシステムにしたことで、通話データの災害復旧サービスも利用できるようになったが、同氏はこれも以前はできなかったことだと述べている。また営業担当者は、天候が悪ければ自宅で働くこともできるようになった。Doggendorf氏は、確かに新たな運用費は発生しているものの、コスト以上の機能を利用できていると述べている。
もう1つのデジタル化の取り組みはドキュメントイメージングシステムだ。買掛金請求書をデジタル化することで、組織図と署名権限に基づいて、請求書を自動的に適切な部署に回せるようになったという。これによって、処理にかかる時間が3~4週間から2~3日にまで短縮された。