「事業継続の必要性が企業のシステム復旧への投資を促すカギになる」
(日本IBM 高瀬正子 レジリエンシー・サービス事業部長)
日本IBMの高瀬正子レジリエンシー・サービス事業部長
日本IBMが先頃、システム復旧の自動化を支援するソフトウェア「IBMレジリエンシー・オーケストレーション」の提供を開始すると発表した。同社グローバル・テクノロジー・サービス(GTS)事業本部でレジリエンシー・サービス事業部長を務める高瀬氏の冒頭の発言は、その発表会見で、企業におけるシステム復旧への投資の決め手について語ったものである。
IBMレジリエンシー・オーケストレーションは、システム復旧の自動化を推進し、実効性を高めるためのツールで、システム復旧環境の監視、ワークフローによるシステム切り替えの自動化、復旧対策状況の可視化、システム復旧手順の検証とレポートの自動作成などが行えるという。(図参照)
図:IBMレジリエンシー・オーケストレーションの概要
会見での説明内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは冒頭の発言に注目したい。高瀬氏は企業のシステム復旧への投資について、「欧米の企業は事業継続の観点からシステム復旧への投資をしっかりとやるところが多い。しかし、日本の企業は売り上げをアップするためのアプリケーションには積極的に投資するが、システム復旧にはお金をかけない傾向がある」と語った。
同氏によると、その背景には事業継続の必要性に対しての意識の違いがあるようだ。もちろん、企業ならばどこも事業継続の必要性は認識しているはずだが、例えばグローバル企業の場合、ビジネスにおいては24時間継続するという意識が強いことから、それを支えるシステムが万一停止してもすぐに復旧させるための手立てをしっかりと講じているという。
従って、日本企業にもそうした事業継続の必要性の高まり、つまりビジネスが活況になれば、システム復旧への投資も促進されることになるというわけだ。
ただ、「システム復旧への手立てが甘いと不安だというユーザーの声も少なくない」と高瀬氏。ビジネスが一層活況になって、そうした不安を解消したいというニーズが高まるように、「ぜひ、皆さん(メディア)にも協力していただきたい」と訴えかけていた。